ペイロード中心の設計で、小型衛星群の開発を迅速化

ドイツの熱画像企業コンストラが衛星バス製造企業スペース・インベンターと次世代衛星の開発を進めるなか、両社が選んだアプローチは従来の小型衛星開発の常識を変えようとしている。コンストラが求めた農業利用と都市計画向けの高精度温度測定衛星群「HiVE(ハイブ、High-precision Versatile Ecosphere)」において、当初ペイロード(搭載機器)の仕様が確定していなかった。にもかかわらず、デンマークに拠点を置くスペース・インベンターは、要件の変化に応じて自社のバス「BIG CAT 600」を適応させていった。

従来の衛星開発では、バスの設計が先行してペイロードがそれに合わせる傾向がある。あるいはペイロード開発の過程で新たな反復が必要になると、バス全体の大幅な再設計を余儀なくされる。コンストラの共同創業者で計画管理担当副社長のマリウス・ビアーデル氏は「ペイロード中心に構築されたプラットフォームが必要だった。バスの要件に合わせるのではなく」と説明する。スペース・インベンターのシステムレベルでのアプローチにより、軌道上で熱センサーが設計通りに機能することになったという。

標準化は「バス」ではなく「モジュール」に

小型衛星群(ミニコンステレーション)は数機から数十機規模で、特定地域や限定的な能力に特化できるのが特徴。数百から数千機の大規模衛星群(メガコンステレーション)とは異なり、より高い柔軟性を提供する市場だ。スペース・インベンターの最高商務責任者ヤン・スモルダース氏は「まだ開発途上にある最先端ペイロードが多く、バス製造開始時に仕様が確定していないことがほとんど」と語る。

BIG CAT 100、300、600といった複数のプラットフォームは異なる衛星クラスに対応しているが、固定設計ではなく構成可能(コンフィギュラブル)という点が重要だ。電力の追加が必要になったり、姿勢制御性能の向上が求められたり、新しい通信機能が必要になったりした場合、バスモジュールを交換するだけで対応でき、衛星全体の再設計は不要になる。この反復的な設計思想は熱画像、宇宙領域認識、軌道上サービスといった急速に進化する分野で特に有効である。

自社製造による供給網の脆弱性排除

スペース・インベンターが柔軟性を実現させているもう一つの要因は、推進システムを除くほぼすべの部品を自社で製造していることだ。デンマークのオールボルグにある工場では、プリント基板(PCB)の設計から加工、組立、検証までを同一屋根の下で実施できる。外部サプライヤーに同様の変更を発注する場合は約6週間要するところを、スペース・インベンターは約1週間で完結できるとスモルダース氏は述べている。

部品の社内在庫を維持することで、翌日配送も実現し、小型部品やサプライヤーの遅延が衛星製造を停滞させるリスクも低減している。コンストラのような小型衛星群運用企業にとって、このモデルは初期衛星から得た教訓を後続衛星に反映させやすくなることを意味する。

スペース・インベンターは防衛向けにも同じコンフィギュラブルアプローチを適用している。衛星バスだけでなく、BIG CATプラットフォームとミッション特有のペイロードを組み合わせたターンキーシステムを提供。防衛向けの「Apex Predator(エイペックス・プレデター)」シリーズには「BC Lynx(BC リンクス)」と「BC Leopard(BC レオパード)」がある。Lynxは無線周波数放射の検出と発生源の特定を、Leopardは高解像度光学または熱画像キャプチャを担当する設計となっている。

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出典: SpaceNews