フレア・リボンが暴露する太陽の隠れた爆発
太陽表面で起きる爆発現象を直接観測することは極めて困難だ。NASAの太陽ダイナミクス観測衛星(SDO)が2017年9月10日に捉えた画像のように、太陽コロナ(外層大気)での閃光は太陽本体の眩しさに隠れてしまう。だが研究者たちは別の方法を見つけた。太陽フレアが地表に落下する際に残す「足跡」ともいえるフレア・リボン(flare ribbon)を調べることで、遠く上空で何が起きているかを推測する手法である。
2026年10月22日付で公表された論文「Evolution of Spatial Complexity in Flare Ribbon Substructure and Its Relationship to Magnetic Reconnection Dynamics」は、この現象の解明に大きく前進させた。米国国立科学財団(NSF)のマルセル・コルチャド・アルベロと国立太陽観測所のマリア・カザチェンコらの研究チームが《The Astrophysical Journal》に発表した内容だ。
コロナでの物理過程を地上から読み解く
フレア・リボンはプラズマと高エネルギー粒子で構成されており、磁気再結合の際に太陽へ衝突する。これらは磁力線に沿って移動し、色球に到達すると眩しく発光する。研究チームが注目したのは、これらリボンが放出する微細な構造である。
コロナで起きる磁気再結合の詳しいメカニズムは、3次元フレアモデルの理論によると、リボンの微細構造と関連している。つまり、色球に到達したときのリボンの細かなパターンを調べることで、遠く上空のコロナ電流シート断片化の状態を診断できるというわけだ。
実際の観測データで検証
研究チームは、フレア・リボンの進化を定量化する手法を開発し、まず合成観測データでモデルを検証した。その後、2015年6月22日に観測されたM6.5クラスの太陽フレアに適用した。この観測には、2013年に打ち上げられた太陽観測衛星IRIS(界面領域イメージング分光器)が用いられた。
研究結果は、フレアがエネルギーを放出する過程が滑らかで均一ではなく、むしろ複雑な空間構造を持つことを示している。太陽の磁場は絶えず捻られ、回転させられ続けており、その矛盾がついに限界に達して磁力線が切れ、より安定な配置へ再結合する瞬間に爆発が起こる。このとき解放されるエネルギーは数百万個から数十億個の水素爆弾が同時に爆発したのに匹敵する規模だ。
太陽フレアに伴うコロナ質量放出(CME)が地球に到達すると、電離層に衝突して美しいオーロラをもたらす。しかし威力が大きい場合、航空・海上通信の遮断、GPS衛星の軌道変化による測位精度の低下、人工衛星の電子機器の誤作動、さらには地上の送電網への影響など、社会基盤に実害をもたらしうる。こうした脅威の本質を理解するため、フレア・リボンの微細構造を通じてコロナでの物理過程を読み解く研究は、今後の太陽活動予測精度向上に貢献するものとみられる。
出典: Universe Today
