アップグレード中のサルデーニャ電波望遠鏡、高速電波バーストの謎解明へ

イタリア・カリャリから内陸へ約1時間の山間部に立つサルデーニャ電波望遠鏡(SRT)は、10年間の運用で宇宙の謎を次々と明かしてきた。地中海から海抜約700メートルの高原に位置し、風の影響が少なく電波ノイズが低い条件を備えたこの施設が、2026年9月までのアップグレード期間を経て、新たな観測態勢で高速電波バースト(FRB)の探査を再開しようとしている。

64メートルの全方向可動鏡を備えたSRTは、6000万ユーロの巨大な投資を受けた施設だ。その最大の成果は、これまでで最も低い周波数の高速電波バースト「FRB 180916」を初めて観測したことである。欧州宇宙機関(ESA)の深宇宙ネットワークの一部としても機能するSRTは、328メガヘルツで約5億光年離れたカシオペア座の渦巻銀河内の星形成領域にあるFRB 180916を検出した。

一度限りか繰り返すか

高速電波バースト研究の中核的な課題は、その発生メカニズムの正体である。カリャリ天文台の電波天文学者マウラ・ピリア氏によると、これらのバーストは大きく二つのタイプに分類される。FRB 180916のように正確な周期性を持って繰り返すタイプと、一度限りで終わるタイプだ。

一度限りのバーストであれば、中性子星同士の合体のような一時的な爆発が原因となり得る。しかし繰り返すバーストは、そのような単一の爆発では説明不可能であるとピリア氏は述べている。繰り返すタイプについては、マグネター(磁場が極めて強い中性子星)が発生源である可能性が最も有力視されている。マグネターは銀河系内にも多数存在するが、これまで観測されたすべてのFRBは銀河系外の現象だという。

謎の光源の正体に迫る観測能力

SRTの強みは、300メガヘルツと1.5ギガヘルツの二つの周波数で同時観測を行える二重ビーム受信機を備えていることにある。FRBは110メガヘルツから8ギガヘルツの範囲で観測されており、その広い周波数帯域をカバーできる施設は限定的だ。

FRB 180916を特に調査したSRTの観測結果から、このバーストは厚い星間ガス雲に覆われていないことが明らかになった。低周波の電波は星間ガスで遮断されるため、SRTでこれほど低い周波数で検出できたことは、このFRBが若い段階ではなく中年期にあると考えられることを意味するとピリア氏は指摘する。バースト1つが放出されるのはミリ秒の短時間だ。太陽の最も強い太陽フレアが数分から数時間かけて放出されるのと比べると、FRBはそれに匹敵するエネルギーを非常に短い時間に集中させており、その発生源は極めて強力な機構である必要がある。

SRTチームはFRB以外の一時的現象、具体的にはマグネター、マイクロクエーサー、ガンマ線バーストなども継続的に追跡調査している。これらすべてのシステムの動作メカニズムの間に共通の関連性が存在する可能性があるとピリア氏は考えている。パルサーの監視と単一パルスおよび巨大パルスの研究も定期的に行われており、パルサーの磁気圏の活動がFRBで起きている現象の縮小版である可能性も検討されている。

関連動画

出典: Universe Today