20年ぶりのヨーロッパ皆既日食、数百万人が太陽の外層大気を目撃

2026年8月12日、ヨーロッパは20年以上ぶりとなる皆既日食を経験した。月が太陽の明るい円盤を完全に覆い、昼間が一瞬にして夜へと変わり、太陽の外層大気(コロナ)がその姿を現わした。グリーンランド、アイスランド、スペイン、ポルトガルから皆既日食が観測でき、ヨーロッパの大部分ではより弱い部分日食が見られた。

月が太陽をより多く覆うにつれて光が消え、気温も低下した。地面の影がくっきりしはじめ、木の葉や光に透かした漉し器が地面に三日月形を投影する現象も観察された。太陽の円盤が完全に隠れる直前には、月の縁で太陽光が月の谷を通り抜け、小さな光の粒が見える「ビーズ現象」が起こった。その後、ダイヤモンドリング効果と呼ばれる最後の明るい光の閃光とともに、皆既食が始まった。

太陽の外層大気が全貌を現わす

暗闇が訪れると、太陽の外層大気の全貌が輝きを放った。白い光の筋が四方八方に伸び、太陽の表面に赤く輝く活動領域(プロミネンス)が張りついていた。欧州宇宙機関(ESA)の科学部門の責任者であるキャロル・マンデル教授は、スペインのハバラマー天体物理観測所(Observatorio Astrofísico de Javalambre)からのESAのライブ放送で「『心が揺さぶられる』という表現が最もぴったりだ。細部まで信じられないほど素晴らしかった。これは不気味な夜のような光だが、実際は夜ではない。本当に非常に特別だ」とコメントした。

ESAはスペインのレオン、パレンシア、ハバラマーの3地点からライブ望遠鏡映像を提供し、ヨーロッパ各地の写真家がその画像を共有した。気象監視衛星MTG-11は月の影が地球を横切る動きを捉え、ESAの人工日食生成機「Proba-3」ミッションは地球軌道から二重の日食を撮影した。

科学と魅力を融合させたライブ放送

遠隔地から皆既日食を観測できなかった視聴者向けに、ESAはライブ放送を配信し、ESAの科学者と観測所の専門家らとともに現象を体験できる環境を整えた。ダム・ドクター・マギー・アデリン氏がホストを務め、太陽とそのコロナの謎から、ある有名な日食がいかに重力についての理解を変えたか、そしてESAがいかに宇宙で人工日食を生み出しているかまで、幅広いテーマを探究した。

ハバラマーでの1分21秒にわたる皆既食の中継が放送の最高潮となった。月が観測所を完全な暗闇へと沈める中、望遠鏡画像とドローン映像に加えて、マギーと科学部門責任者キャロルがこの非凡な現象を目撃した際の驚愕の表情も捉えられた。

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出典: ESA Space Science