日本、火星の衛星フォボスからのサンプル回収ミッションを打ち上げ
火星最大の衛星フォボスからサンプルを地球に持ち帰る——。日本は10月20日(米国東部時間、日本時間21日未明)、総事業費5億7800万ドルの野心的なミッションを打ち上げた。火星の衛星を調査するこのプロジェクトは、太陽系の形成に関する新たな知見をもたらす可能性を秘めている。
火星の衛星探査機(MMX)と呼ばれるこの無人探査機は、日本の鹿児島県種子島宇宙センターから高さ63メートルのH3ロケットで打ち上げられた。MMXの打ち上げに使用されたH3ロケットは、新たにアップグレードされた構成で初めて運用された。4本の固体ロケットブースターを装備し、メインエンジンは最大推力で運転され、さらに拡張されたペイロードフェアリングを備えることで、日本の最も野心的な惑星間ミッションに対応する。
ロケットの上段はMMX探査機を時速24,000マイル以上まで加速させ、地球の重力圏を脱出させた。打ち上げから約71分後、質量4.5トンのMMX探査機はH3ロケットから分離された。日本航空宇宙探査機構(JAXA)の山川宏会長は打ち上げの成功を宣言し、「5年間の長い旅が始まった」とコメントした。
火星到着まで10カ月、フォボス到達は2029年
MMX探査機は地球から火星への10カ月間の航行を経て、来年8月に火星圏に到着する予定だ。火星到着後、探査機は約3年間にわたってこの領域に滞在し、火星の2つの衛星フォボスとデイモスの観測を行う。ミッション最大の見せ場は2029年に訪れる。このとき、探査機はフォボスへの最大2回の着陸を試み、サンプルの採集を目指す。
フォボスは火星の2つの衛星のうち大きい方で、ジャガイモのような凹凸のある形状をしており、平均直径は22キロメートル、表面積はテキサス州ヒューストン市程度である。フォボスの重力は極めて弱く、火星の重力との相互作用により、探査機はフォボスの周囲に安定した軌道を取ることができない。そのため、MMXは準衛星軌道と呼ばれる特殊な軌道を採用し、火星に束縛されながらもフォボスの周辺で機動できる位置を保つ計画だ。
小惑星サンプル回収で培った日本の実績
MMXの成功に向けて、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の川勝康弘ミッションプロジェクトマネージャーは「遠い宇宙からのサンプル回収は日本の専門技術になった」と述べている。これははやぶさ、はやぶさ2という2つのミッションの成功に基づいている。これら2機は世界初の小惑星サンプルリターン航宇宙機であり、科学者たちはフォボスそのものが数十億年前に火星の軌道に捕捉された小惑星である可能性があると考えている。MMXがこの仮説を検証することが科学的な目標の一つとなっている。
こうした実績が評価され、MMXはNASAとヨーロッパの宇宙機関からの協力を得ている。川勝マネージャーは「天体からのサンプル回収を実施したい場合、日本主導のミッションに参加する方が米国やヨーロッパが独自に打ち上げるよりも成功の確実性が高いという理解のもとで参加している」と指摘した。
日本の科学技術担当大臣である関芳弘氏は、「今日打ち上げたMMXミッションは、火星の衛星からの世界初のサンプル回収を目指す挑戦的なミッションだ。このミッションを通じて得られた成果が、わが国の宇宙科学および探査技術の発展に貢献することを期待している」とコメントした。
