ESA・JAXA共同の小惑星防御ミッション、初起動に成功

2029年4月13日、小惑星99942アポフィスが地球表面から32,000キロメートル以内を通過する。約千年に一度の天文現象を前に、ESA(欧州宇宙機関)とJAXA(宇宙航空研究開発機構)の共同ミッション「ラムセス(Rapid Apophis Mission for Space Safety)」が重要な開発段階を達成した。搭載コンピュータの初起動に成功したのである。

この出来事は一見すると地味に思えるかもしれない。だが宇宙機開発の進行状況を示す極めて重要なマイルストーンである。ラムセスの開発スケジュールは驚くほど逼迫している。2024年10月に初期契約が締結されたが、本格的な建造契約の署名は2026年2月10日まで延びた。つまり完全な製造から試験、打ち上げ、そして運用実施までを3年強で完了する必要がある。他の宇宙ミッションが十年単位の調達・製造サイクルを経ることと比べると、異例の速さである。

並行開発で時間短縮

この厳しい期限に対応するため、ラムセスの請負企業は機体を二つのモジュールに分割した。「コア・モジュール」は宇宙機の制御システムと電力配分システムを担当する。「プロペルション・モジュール」は燃料配管、中央構造体、推進機構で構成される。

プロペルション・モジュールはドイツのランポルトシャウゼン(Lampoldshausen)でアリアングループ(ArianeGroup)が建造中である。カーボンファイバー製の中央機械構造体を採用し、将来コア・モジュール装着時に必要な接続機器をすべて搭載する。

一方、コア・モジュールはイタリアのミラノでOHB Italiaのクリーンルームで組み立てが進められている。電力配分制御装置(PCDU)と質量メモリユニット(Mass Memory Unit)といった各種コンポーネントは個別にあらかじめ試験済みである。しかし個別試験を通過した部品が統合されても、すべてが順調に機能するとは限らない。今回は幸い、コア・モジュールは問題なく起動し、全システムコンポーネントが期待通りに動作した。ESAの発表によるものである。

残された試験と春2028年の打ち上げ期限

もっとも、これはコア・モジュール単体の成功に過ぎない。両モジュールの統合は2027年春、オランダのESAC(ESTEC試験センター)で行われる。さらに搭載予定の二つのキューブサットも同時に試験対象となる。そのうち一つは2026年7月にようやく正式な製造契約が署名されたばかりである。

両モジュール統合後、ラムセスは熱真空試験を含む過酷な環境試験に耐える必要がある。真空状態で星間空間の極端な温度変化に晒される試験である。これらの試験に合格できなければ、エンジニアには修復時間がほぼ残されていない。

プロジェクトの絶対的な期限は2028年春である。その時期に日本のH-3ロケットで打ち上げられ、その後の1年半をかけて2029年のアポフィス接近に向けた観測体制整備にあてられる。迫りくるこの歴史的な天文現象に向け、開発チームが現在のペースを維持できるかどうか、その行方が注視される。

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出典: Universe Today