宇宙誕生直後、銀河は重い元素を宇宙空間にばら撒いていた――JWST観測で初期宇宙の化学進化が明らかに

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の赤外線観測により、宇宙が現在の年齢で5億歳だった時代の銀河から、炭素や酸素、珪素といった重い元素が次々と放出されていたことが判明した。アリゾナ大学天文学科の天文学者ヨンダ・ジューが率いる研究チームが発見したこの現象は、初期宇宙がどのようにして化学的に豊かになったのかという根本的な問いに答える手がかりとなっている。

重元素の逃走を示す三つの銀河

ジューらが観測した三つの古代銀河は、地球から130億光年以上離れた位置にある。これらは再電離の時代(Epoch of Reionization)に位置し、初期宇宙の星々が周囲の水素原子核をイオン化することで、光が宇宙全体を通り抜けることを可能にした時代である。

観測手法は独創的だ。銀河からの光が地球に到達する過程で、周囲のガスを通り抜ける際の吸収パターンを分析し、そこに含まれる元素を特定した。重要なのは、これらの元素が銀河から遠ざかる方向に移動していることが、光の青方偏移により確認されたという点である。つまり重い元素は銀河の内部にとどまらず、積極的に外部へ放出されていたのだ。

ジューはこの現象を色素が水に広がる様子に例えている。初期の星々の核融合で作られた重い元素が、恒星風と超新星爆発を通じて周囲の空間へ拡散し、他の銀河への種まきさえしていた可能性がある。観測対象の三つの銀河は、すでに化学的に進化した銀河のように見える。つまり宇宙最初期の時代から、星や銀河は宇宙全体を重元素で豊かにするプロセスが活発に進行していたということだ。

最初の星々からの元素循環

これまで天文学者たちは、初期宇宙の最初の星(Population III星と呼ばれる)を探す努力を続けてきた。これらの星は太陽より遙かに巨大で明るかったが、ほぼすべてが死滅している。その核融合で生まれた重元素は、やがて銀河間の物質交換を通じて再利用され、新世代の星々や惑星へと組み込まれていく。私たちの太陽さえもが、このような循環の産物なのだ。今回の観測は、この宇宙規模の物質循環が、想定されるより早い段階で既に機能していたことを示唆している。

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出典: Universe Today