火星の塵が地球の夜空を照らす——ハンレ高地で捉えた黄道光
惑星火星が放出する塵が、地球の夜空に映る黄道光(おうどうこう)の源になっている可能性が高まった。NASA(アメリカ航空宇宙局)の木星探査機ジュノーが星間塵を検出した観測データが、この仮説を支持している。2026年9月にインド・ラダック地方のハンレダークスカイリザーブで撮影された夜空写真は、こうした宇宙の現象を見事に捉えた一枚となった。
高地での天体観測がもたらした発見
ハンレダークスカイリザーブは標高約4500メートルに位置する遠隔地で、星空観測と天体写真撮影の愛好家にとって理想的な環境を提供している。9月の観測会では、天文薄明開始直前の時間帯に撮影が実施された。天頂付近では散開星団M44と、淡い黄色を帯びた惑星火星が視野に入った。東の地平線付近には木星が黄道光の微かな輝きの中に浮かんでいる。
黄道光は「疑似曜明(ぎじようめい)」とも呼ばれ、太陽光が星間塵に後方散乱される現象である。この画像に映る輝きの帯は、その典型的な姿をとらえている。
火星起源説を示唆するジュノーの観測
火星が黄道光の塵の供給源である可能性は、従来の推測の域を出ていなかった。しかしジュノーが星間塵を偶然検出したことで、状況が変わりつつある。火星自体が放出する塵が、地球の夜空で観測される黄道光を作り出しているという説が、観測的な根拠をもつようになったのである。
今回のハンレダークスカイリザーブでの撮影では、こうした塵の流れが時空を超えて、地球の観測者にも見えるかたちで表現されている。宇宙全体を見渡す視点では、惑星間の物質交換が思いのほか活発に起きていることを物語る景観だといえよう。
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