カナダでの試験を経て、2027年のISS実証へ 宇宙ロボット企業Icarus Roboticsが自由飛行ロボット「Joy」をテスト

ニューヨーク拠点のスタートアップ企業Icarus Roboticsは、宇宙ミッション向けの器用な移動ロボットを開発する傍ら、2027年の国際宇宙ステーション(ISS)実証に先立ち、自由飛行ロボットの地上試験をカナダで実施した。同社のCEOで共同創業者であるEthan Barajasは、米国内に適切な試験施設が不足していることを理由に、カナダの宇宙飛行士Chris Hadfield氏と協力して試験を進めたことを明かした。

Joyと名付けられたロボットは、器用性を備えるマニピュレータ(腕部)を搭載する機体だ。Icarus Roboticsは4回の放物線飛行試験を実施し、計22分間の微小重力環境での運用データを取得。飛行制御系、センサスイート、操作機能の性能を検証した。試験期間中、同社の担当者らはスケジュール調整、クルーとの連携、安全手順の確認も行っている。Barajasは声明の中で「この試験はIcarusにとってだけでなく、宇宙ロボティクスの可能性全体において転機となるもの」と述べ、「商業宇宙時代が予想以上のペースで到来しており、それを支える基盤整備が急務」と指摘した。

米国内の微小重力試験環境の空白

カナダでの試験実施は、現在のところ米国内でパラボリックフライト(放物線飛行)を提供する商用事業者がいないという事情を反映している。Icarus Roboticsによる声明では、「政府と民間資本が商業宇宙に大量投入されており、2030年頃のISS退役後を見据えた後続の商用ステーションも計画されている。しかし、これらの施設に搭載される機器の開発・検証能力が、打ち上げ能力の進展に追いついていない」と指摘している。

米国企業は歴史的にフロリダ拠点のZero-Gを利用してきたが、同社の飛行は現在「一時停止中」と公式サイトに表記されている。一方、スタートアップのMu-g Technologiesはダッソー・ファルコン50型ビジネスジェットでのパラボリックフライト実施を準備中。NASAも6月にDenmar Technical Servicesと契約し、ボーイング737-700型機を微小重力試験用に改造する計画を進めている。

軌道施設の保守から月面インフラまで

Joyは単なる技術実証にとどまらない。Barajasは、同ロボットが「軌道上のデータセンター保守、月面インフラの組み立て、宇宙における人間の継続的な活動を実現するロボット労働力」への一歩と位置付けている。Icarus Roboticsは1月にJoyをNASAに引き渡し、ISS輸送の準備を進める予定だ。

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出典: SpaceNews