地球の「体重」を測る 季節変動で重心ずれる仕組みをNASAが追跡
水が大陸と海洋の間を往来することで、地球の重心が幾何学的中心からずれる。NASAの科学者たちは超高精度の衛星追跡技術を用いて、このずれをインチ単位の精度で推定する新たな手法を開発した。
地球の表面には常に変化が起きている。春の融雪、海洋の流動、冬の密度の高い大気——これらが季節ごとに膨大な水の重量を地球上で移動させる。結果として、地球の重心は幾何学的中心から数分の一インチ程度、前後に揺らいでいるという。
この現象は単なる天文学的な興味に留まらない。地球の重心は人工衛星の航法測位と標高測定の重要な基準点となるため、その位置を正確に把握することは実用的な価値が高い。
衛星追跡で極めて高精度に測定
ジェット推進研究所(JPL)が主導するNASAのチームは、季節変動による重心のズレを極めて高い精度で算出する方法を提案した。この手法と研究成果は、学術誌「ジオフィジカル・ジャーナル・インターナショナル」に掲載された論文で詳述されている。
研究チームが描き出すのは、春の融解水、渦巻く海洋、冬の高気圧による大気圧——季節ごとに地表の荷重を大きく移動させる力学だ。衛星からの超高精度な追跡により、従来の手法では捉えられなかった細かな変動まで可視化することが可能になった。
硬い球ではない、流動する地球
地球の重心を特定しようとする試みは、何十年にもわたって進められてきた。複数の宇宙ベース技術が開発され、重心の定義と位置把握が繰り返し精密化されてきた。
だが地球は単純な物体ではない。もし地球が硬い青い球体なら、重心と幾何学的中心は一致するはずだ。現実には、地球は水、氷、大気の重みの下で絶えず歪み、かつ流動している。この複雑な動きこそが、重心を「動く目標」へと変えているのである。
