土星の南極に新たな10角形大気構造を発見—40年続く北極の六角形と対照的

ハッブル宇宙望遠鏡の観測により、土星の南極域に初めて10角形(デカゴン)の大気構造が検出された。国際研究チームが2023年から2025年にかけて取得した画像を分析した結果で、科学誌『Science Advances』に掲載されている。土星といえば壮大なリングが特徴だが、実は極域の大気活動も注目に値する。北極に存在する有名な六角形構造とは異なり、この南極の新しい構造はより複雑な振る舞いを示しているという。

移動する南極の10角形、固定された北極の六角形

土星の南極で観測された10角形構造は、ジェット気流によって形成されている。南極のデカゴンに関連するジェット気流の速度は時速400〜420キロメートル(時速250マイル)に達する。これに対し、40年以上にわたって存在が確認されている北極の六角形は、関連するジェット気流が時速320〜354キロメートル(時速200〜220マイル)で、位置はほぼ固定されたままだ。

南極の新しい構造が北極の構造と大きく異なるのは、その動きにある。研究チームの観測によれば、南極の10角形は東方向へ移動する傾向を示しており、この移動は32日周期で10個の角が振動することが原因とみられている。つまり、南極のデカゴンは北極の六角形のような固定的な構造ではなく、複数の大気層を貫く蛇行する波動のように振る舞っているということだ。

惑星大気研究に新たな視点をもたらす発見

NASA ゴダード宇宙飛行センターの惑星大気研究シニアサイエンティストであり、ハッブル望遠鏡の外惑星大気遺産計画(OPAL)の主任研究者でもあるエイミー・サイモン博士は、この発見の意義を強調している。「土星の南極で、これほどのものを目撃したことはありません。北極の六角形は40年以上の間、観測するたびに存在していました。この構造は異なっています。強まりつつあるように見えるのです。巨大な大気パターンが発達する過程を観察できる稀な機会です」とコメントしている。

注目すべき点は、1988年に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡が2023年に初めてこのデカゴンを検出した一方で、2004年から2017年までの13年間土星を周回していたNASAのカッシーニ探査機は、南極の極域で何らかの顕著な形状を観測していないということである。この新しい10角形構造の出現と発達は、木星の極域に見られる幾何学的に配置された多数の気象システムの形成メカニズムの理解にもつながる可能性がある。コンピュータシミュレーションを用いれば、変動する風パターンと太陽放射が土星や木星のポリゴン構造の発達にどのような影響を与えるのかが、より明確に解明できるだろう。OPAL計画は2014年に開始され、木星、土星、天王星、海王星の4つの外惑星について毎年観測を実施し、その大気組成、振る舞い、進化を調査している。

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出典: Universe Today