太陽嵐の警報時間を10倍に延ばすキューブサット、ロンドン大学チームが開発

太陽が放つ磁気嵐や放射線嵐といった宇宙天気現象は、人工衛星や地上インフラ、人命に重大な被害をもたらす可能性を秘めている。現在、宇宙天気予報に用いられている衛星は太陽と地球のラグランジュ点(L1点)に配置され、約150万キロメートル離れた地点から観測を行っているが、これでは地球に到達するまでわずか15~60分の警報時間しか確保できない。

ロンドンのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、この課題を解決するため新型キューブサット「HENON」(太陽・惑星間脅威防衛先駆者)を開発した。2026年7月20~24日に開催された王立天文学会の全国天文学会議で発表されたこのプロジェクトは、搭載されるMAGIC(インペリアル・カレッジの磁力計)という専用機器により、太陽磁場を計測することで宇宙天気の重大度を正確に判定することを目指している。

現在の10倍遠い位置からの先制観測

HENONの最大の特徴は、その配置位置にある。従来衛星が配置されるL1点から約1500万キロメートル離れた地点を周回する軌道設定により、L1点より10倍遠い距離からの観測が可能になる。この距離的優位性により、研究チームは警報時間を現在の15~60分から15時間程度まで延長できると推定している。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの物理学部(ブラックレット研究所)で宇宙物理学教授を務める研究主著者のジョナサン・イーストウッド博士は「HENONの成功は宇宙天気予報能力の飛躍的向上をもたらし、ヨーロッパ宇宙機関(ESA)が開発中の次世代宇宙天気ミッションSHIELDへの道を切り開く」とコメントしている。

歴史的な太陽嵐に学ぶ

1859年9月1~2日に発生した「カリントン・イベント」は、テクノロジー時代における最大級の宇宙天気現象として記録されている。全球規模のオーロラと電信システム全体の障害をもたらしたこのイベント以降も、宇宙天気の脅威は継続している。2024年5月7~11日に発生した「ジェニファー・ガノン」スーパーストームはG5(極度)等級に指定され、2026年1月19日にはS4(大規模)太陽放射線嵐が発生した。米国立海洋大気庁(NOAA)の宇宙天気スケールはG(地磁気嵐)、S(太陽放射線嵐)、R(電波ブラックアウト)の三つのカテゴリーを用い、それぞれ1(軽微)から5(極度)まで段階付けされている。

将来、ESAが開発する1500万キロメートル地点での連続観測を行うSHIELDミッションは、HENONの実績を基盤として、さらに精度の高い宇宙天気予報体制の構築を目指すとされている。

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出典: Universe Today