携帯圏外で命がけの救難信号を届ける

2024年メモリアルデーの週末、ミシシッピ州のメキシコ湾岸から約40マイル沖合で悲劇が発生した。晴れ渡った空のもと、3~4フィート程度の波が立つ釣り大会の会場。5人のチームが船上でソナーを確認していた矢先、30秒後に船は沈没した。水上で生き残った人々が浮揚し、ライフジャケットとクーラーボックスを掴もうとしていた時のことだ。

広大な水域に浮かぶ生存者は外部からほぼ見つけられない状態に置かれる。イーストン・バレットは船上に唯一の携帯電話を持っていたが、電波が入らなかった。彼は最後の動画を記録し、携帯をクーラーボックスに入れて、いつか誰かに見つかることを願った。別のチームメンバーは、直前に船に積み込んだ個人用位置指示装置(PLB:Personal Locator Beacon)を起動した。この装置から発せられた遭難信号は、地球軌道上を周回する複数の衛星に搭載された捜索救難衛星補助追跡システム(SARSAT:Search and Rescue Satellite-Aided Tracking)へと送信されたのだ。

NASAが開発に携わったシステムが救命につながる

SARSATシステムはNASAが部分的に開発した技術で、送信機の位置情報を含む緊急信号を最も近い利用可能な地上局へと向ける仕組みになっている。406メガヘルツという周波数帯が遭難信号専用に割り当てられている。

バレットと友人は4時間以上を水中で過ごした後、米国沿岸警備隊によって救出された。このPLBがなければ、電波の届かない外洋での捜索は困難を極めていただろう。海難事故で携帯電話が無力であることが露呈した中、宇宙技術を基盤とした通信手段がいかに重要であるかを改めて示す事例となった。

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出典: NASA Breaking News