ウェッブ望遠鏡がダイソン球の2候補を排除、背後銀河による誤認が判明

ウェッブ宇宙望遠鏡によるダイソン球探査で、新たに2つの候補が除外された。スウェーデンのウプサラ大学が主導するプロジェクト・ヘパイストス(Project Hephaistos)は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を用いてM型矮星2つを観測し、それらがダイソン球である可能性を排除した。観測結果は天文学の国際誌『王立天文学会月報』(MNRAS)に投稿された。

ダイソン球とは、恒星の周囲に建造される仮説上の巨大構造物で、放射エネルギーを収集する目的で構想されている。居住地の電力供給や航宇宙船の推進、計算処理、長距離信号送信などに利用される可能性が考えられている。このような構造物から放出される廃熱は赤外線領域で検出されると予想される。特に中赤外線スペクトラムに顕著に現れるはずの特徴だ。

背後銀河が正体、高解像度観測で明らかに

ウェッブ望遠鏡による撮像と分光観測の結果、当初検出された赤外線過剰放射は、これらM型矮星の近傍にあるダイソン球のような構造体から発生していなかった。むしろ、その赤外線は両星からわずか1秒角以内に位置する背後銀河に由来していたことが判明した。一方の銀河は「ホットダスト被覆銀河」(Hot DOG)に分類される中赤外線スペクトルを示し、もう一方は塵まみれの星形成銀河(dusty starburst)を示唆する広がった形態と輝く領域を備えていた。

プロジェクト・ヘパイストスのチームメンバーであり、ウプサラ大学天体物理学の講師であるアンドレアス・コルン博士によれば、このウェッブ望遠鏡による追観測は、地球から約1000光年以内の約100万個の恒星を対象とした先行調査で特定された星々を対象としている。先行調査は欧州宇宙機関のガイア衛星とNASAの広視野赤外線探査衛星(WISE)を用いて実施された。探査の焦点は、光学領域で異常に暗く赤外線領域で異常に明るい特性を持つ恒星を検出することにあった。

コルン博士によると、最初に有望とみられた両星は、推定年齢が数十億年のM型矮星で、15等級程度の相対的に暗い星だという。肉眼での観測は不可能な天体だ。同博士は「計算処理にダイソン球のエネルギーを使っている場合でも、最終的にそのエネルギーは赤外線として廃熱として放出される」と説明する。求めていた特徴は「光学領域で予想より暗く、赤外線に大量の廃熱を持つ星」だったが、実際に見つかったのは通常のM型矮星と背後銀河の重ね合わせだったのだ。

次世代赤外線望遠鏡への期待

WISE衛星の画像解像度が限定的であったため、背後銀河とM型矮星からの光子が混在し、両者を区別できなかった。ウェッブ望遠鏡の高解像度観測により、二つの天体を分離し、それぞれ独立した分析が可能になった。

MNRAS論文の著者たちが指摘するように、プロジェクト・ヘパイストスの候補天体の大部分が背後銀河による汚染を受けているというのが現在の課題である。しかし2030年代に運用開始予定の中赤外線望遠鏡は、広大な領域にわたってより高い空間解像度データを供給できると考えられている。コルン博士は「2030年代に、より高い空間解像度を持つ赤外線探査が開始される見通しがあり、やがてこの問題が解決される可能性がある」と述べている。

ダイソン球の建造が本当に可能かどうかについては、惑星系に十分な建造材料が存在するかという根本的な疑問が残る。コルン博士によれば、完全な球殻構造を建造する必要はなく、複数の衛星からなるダイソン・スウォーム(Dyson Swarm)でも同じ目的を果たせるという。球殻ほどのエネルギーは回収できないが、惑星規模で利用可能なエネルギーよりは多くを集約できるとみられる。

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出典: Universe Today