ビッグバンからわずか3億年の銀河はさらに巨大だった——JWSTが暴露した「隠された星々」
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測で、宇宙の初期段階に存在した銀河の実際の質量が、これまでの推定値よりもはるかに大きいことが明らかになった。ライデン大学(オランダ)のクロエ・チェン氏が率いる研究チームが、学術誌『ネイチャー・アストロノミー』に発表した成果である。
JWSTは宇宙が現在の姿になる前、ビッグバンからおよそ5億年以内にある遠方の銀河から届く光を観測した。その結果、当時の銀河は銀河形成・進化の理論では説明できないほど巨大だったという意外な発見が報告されていた。ところが今回の研究では、この謎めいた銀河たちの質量がさらに過小評価されていたことが判明した。
暗い星の光に隠れた質量
銀河の質量を測定する際、天文学者は初質量関数(IMF)と呼ばれる指標に依拠している。IMFは銀河が誕生した直後の星々の質量と形成過程を統計的に記述するもので、銀河の進化を理解するうえで不可欠な指標だ。しかし従来の測定では、銀河系(太陽系がある銀河)のIMFを基準に、遠方銀河の質量が推定されてきた。
チェン氏らの指摘によれば、この手法に根本的な問題がある。遠方の銀河を観測する際、天文学者が実際に見ているのは、銀河に含まれるすべての星のうち代表的な一部にすぎない。観測では、明るい大質量星が放つ光が支配的となり、それより暗い低質量星の存在が見過ごされやすいということだ。
チェン氏は比喩的に説明している。「もし銀河が都市なら、最も明るい星は遠くからでもすぐに目につく摩天楼です。しかし私たちのモデルが明らかにしたのは、その摩天楼の間に隠れた無数の家のような低質量星が存在するということです。その結果、その銀河は以前の推定よりもずっと巨大だと分かりました」。
JWST観測データから見えた真の質量
研究チームはJWSTの近赤外線分光器(NIRSpec)および超大型望遠鏡(VLT)の大規模初期銀河天体物理学国勢調査(LEGA-C)から得られたデータを用いて、9つの遠方にある静止銀河の初質量関数を分析した。対象となった銀河は赤方偏移z≈0.7に位置し、いずれも非常に高い質量を持つものばかりだ。
分析の結果、これら9つの銀河に含まれる低質量星の数は従来の推定より大幅に多いことが判明した。論文では「最も巨大な銀河には、予想を上回る低質量星が存在する」と記されている。JADES-GS-z14-0をはじめとする、ビッグバンからおよそ3億年という極めて早い時期に既に大質量化していた銀河たちは、これまで考えられていた以上に星を詰め込んでいたのだ。宇宙初期における銀河形成の理論的課題は、今なお一層の深刻さを増している。
出典: Universe Today
