暗い1ピクセルから生命の痕跡を読む――系外惑星の大気分析という挑戦
1990年、60億キロメートルの彼方から地球を撮影したボイジャー1号の画像は、科学史上最も有名な一枚となった。それは「淡い青い点」と呼ばれる、sunbeamのなかにぽつんと浮かぶ、地球という存在の脆弱さを映し出す画像である。もし地球外の知的生命体が宇宙のどこかから、この淡い青い点を見つめたとしたら、あるいは見つめることができたとしたら――彼らは何を知ることができるだろうか。
実は、私たちの世界について「ばかげた量」の情報が、たった1ピクセルの光のなかに秘められているという。ただしそれには、高度な技術力と忍耐強さ、そして想像を絶するほど巨大な望遠鏡が必要だ。
トランジット分光法――1ピクセルの光を読み解く技術
系外惑星の大気を調べ、生命の存在可能性を探る主な手法は「トランジット分光法」(transit spectroscopy)と呼ばれる。惑星が恒星の前を通過する際、恒星の光の一部が惑星の大気を通り抜けてくる。この光に含まれる異なる波長を分析することで、大気の成分を特定できるのだ。
大気中の分子は、それぞれ独特の「色の指紋」を持つ。水はある波長を吸収し、メタンは別の波長を吸収する。恒星が惑星に遮られていない状態の光と、遮られた状態の光を比較すれば、失われた波長がどの分子に吸収されたかが判明する仕組みだ。
しかし現実は極めて困難である。太陽のような恒星の周りを公転する地球サイズの惑星の場合、大気が恒星の光を変化させる度合いは約1万分の1程度に過ぎない。このわずかな信号を検出するために、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb)のような巨大な観測機器が必要とされている。2021年に打ち上げられたこの望遠鏡は、6.5メートルの鏡を備えており、そうした微細な差を捉えることができる唯一の手段だ。
生命の「4つの署名」を探す
系外惑星に生命が存在する可能性を示す証拠として、科学者たちは4つの分子に着目している。酸素、オゾン、メタン、そして水である。
地球では、光合成する生命が酸素を放出する。その酸素が上層大気で太陽光に変換されてオゾンになり、紫外線を遮断して生命が住める環境を作り出している。嫌気性微生物は酸素を嫌うためメタンを放出し、牛の胃、沼地、シロアリ、深海噴出孔など、地球のあらゆる場所でその活動の痕跡が見られる。水は生命の溶媒として、既知のすべての生命形態に必須だ。
重要なのは、これら4つが「パッケージ」として同時に検出されることである。酸素単独では、太陽光が水蒸気を分解する化学反応など、生物学的でない過程でも大量に生成される。メタンも火山活動で豊富に産出される。しかし酸素とメタンが同じ大気に共存することは化学的に矛盾している。両者は数千年以内に反応して消滅するはずなのだ。この矛盾した組成が観測されたなら、それは何かが継続的にこれらのガスを補給していることを意味する。地球では、その「何か」が生命である。
出典: Universe Today
