音楽記号のような形をした銀河団衝突、NASAのチャンドラが謎を解明

銀河団の衝突により生じた電波放射が、五線譜の高音部記号(トレブル・クレフ)に似た形をしていることから「トレブル・クレフ」と名付けられた現象がある。NASAのチャンドラX線天文台(Chandra X-ray Observatory)を用いた観測により、この独特な構造の正体が明かされた。イタリアの国立天体物理学研究所(INAF)のアンドレア・ボッテオンが率いる研究チームは、トレブル・クレフが超大質量ブラックホールからの爆発的な放出現象に続いて、2つの銀河団が衝突することで生じるものだと結論づけた。この成果は2026年10月16日、天文学・天体物理学誌『Astronomy & Astrophysics』に発表された。

銀河系の視線方向という困難な観測条件

トレブル・クレフを特定することが難しかった主な理由は、その位置にある。この天体は銀河系の円盤の背後にほぼ正対する方向に位置しており、銀河系内の星々、ガス、塵が地球からの観測を大きく阻害している。通常の光学観測では、このような環境にある天体を調べることは実質的に不可能だ。研究チームがこの問題を克服したのは、介在する物質を透過できる特殊な望遠鏡を組み合わせることによってだった。

X線天文台による確認と銀河団の実態解明

NASAのチャンドラと、ドイツの拡張レントゲン調査イメージング望遠鏡アレイ(eROSITA)によるX線観測により、トレブル・クレフの位置に拡散した高温ガスが存在することが判明した。このガス分布の検出により、当該天体が銀河団によって構成されていることが示唆された。さらに精査した結果、この銀河団は実は2つの銀河団が現在進行形で合体している過程にあることが判明している。宇宙規模でも最大級の構造に数えられる銀河団が相互作用する現象を通じて、ブラックホールからの噴出と衝突という複合的なプロセスが、音楽記号を思わせる電波構造を作り上げていたのだ。

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出典: NASA Breaking News