ESA探査機ヘラが小惑星二重連星系へ到着―NASAの衝突実験の痕跡を調査

秒速12キロメートルで接近するESAのヘラ探査機が、この11月、ディモルフォス・ディディモス小惑星二重連星系とのランデブーを実現する。2024年10月7日にSpaceXのファルコン9ロケットでケープカナベラルから打ち上げられたヘラは、2年以上の航行を経て、宇宙への衝突実験の成果を直接調査する世界初のミッションとなる。

衝突実験から4年、DART後の現状を初観測

この小惑星系への関心は、2022年にNASAの小惑星軌道変更実験(DART)がディモルフォスに激突したことに遡る。秒速6.6キロメートルで衝撃を与えた同ミッションは、小さな衛星ディモルフォスの軌道周期を当初の11時間55分から約32分短縮させた。衝突後の数週間で小惑星系から砕屑流が観測されており、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)もこの現象を捉えている。

ヘラは、こうした衝突の痕跡を至近距離で観察する初めての探査機だ。2026年7月には既にディディモスを撮像しており、現在両天体はヘラの視野で数ピクセル程度の大きさになっている。太陽から1.5天文単位離れた位置での観測となるため画像は暗くなるが、ヘラに搭載された5メートの太陽電池パネル2枚で充分な電力が供給される見通しだ。

小惑星の詳細解明を担う、2つのキューブサット

ランデブー直後、ヘラから2機のキューブサットが分離される。ユベンタスはタイヴァック・インターナショナル(イタリア、トリノ)が、ミラニはゴムスペース・ルクセンブルク(ルクセンブルク)がそれぞれ製造した。ユベンタスは小惑星の内部構造を比較調査し、ディモルフォスに接近・着地することさえ可能とみられている。ミラニは両小惑星周囲の塵場を分析し、分光組成を研究する役割を担う。

1996年にキットピーク・スペースウォッチ・サーベイで発見された65803ディディモスは直径780メートルで、公転周期は2.1年。2003年に小さな衛星を保有することが判明し、その衛星ディモルフォスは直径151メートの岩体だ。両天体は月と同様、暗色で珪酸塩に富んでいる。ディディモスは2.2時間ごとに自転する高速回転体で、DARTの観測ではディモルフォスは101955ベンヌやはやぶさ2が訪問した162173リュウグウと同じ「ルビルパイル小惑星」に分類されている。このような岩塊集合体は凝集力の限界に達しており、飛散の危険性を秦しているとみられる。

小惑星表面での光景と将来への応用

もし宇宙飛行士がいずれかの小惑星表面に立つことができれば、回転する空を彩る近くの相手天体が支配する異世界の景観に出会うだろう。微弱な重力下では、落下速度は極めて遅く、数日かけて地表へ降りることになるだろう。

ヘラは2027年に定常運用の終了が予定されているが、その後、自律制御技術の実証機として任務延長される可能性がある。2025年3月にはアレス飛行を実施しており、デイモスの画像撮像に成功している。この小惑星系への接近観測は、将来、地球への衝突の脅威となる小惑星を軌道変更する必要が生じた場合の重要な知見をもたらすと期待されている。

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出典: Universe Today