月面南極での静電気問題、水中シミュレーションで検証へ

月面での人間活動を脅かす隠れた危険が注目を集めている。宇宙服が静電気を帯びる現象だ。NASAが次の月面活動シミュレーションの準備を進める中で、この電荷蓄積メカニズムが宇宙飛行士の安全を左右する重大な課題として浮かび上がっている。

月面での電荷蓄積のメカニズム

月面南極を移動する宇宙飛行士の宇宙服には、複数の帯電プロセスが作用する。月面を歩くときの摩擦帯電(トリボチャージング)と、周囲のプラズマによる帯電が重なり、スーツ表面に電荷が蓄積される。

この問題は影の多い領域に入ると劇的に悪化する。永久影(Permanently Shadowed Regions、PSRs)では太陽光が届かず、周囲のイオンが極端に不足する。通常であれば光電子放出が電荷を中和するメカニズムとして機能するが、暗い環境ではそれも失われる。その結果、スーツに大量の負の電荷が溜まり、宇宙飛行士自体が高電圧コンデンサと化すリスクが生じる。

着陸船への帰還時に潜む危険

最大の危険は任務完了時に訪れる。月面には自然な放電メカニズムがないため、帯電したまま着陸船に接近することになる。日光の当たる領域に駐機している着陸船は、わずかに正の電位を保っている。これに高い負電荷を帯びた宇宙飛行士が近づくと、両者の電位差は急速に拡大する。その瞬間、静電放電(エレクトロスタティック・ディスチャージ)と呼ぶ瞬間的な電気的放電、つまり火花が発生する。

この急速な放電は、宇宙服の重要な層を劣化させ、スーツに組み込まれた電子機器を破壊し、スーツ内部の酸素豊富な環境を脅かす可能性がある。NASAはこの脅威に対処するため、水中でのシミュレーションを含めた検証作業を進めている。

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出典: NASA Breaking News