冷たい溶岩惑星が大気を保持することが判明――地球初期の謎に光

地球から約154光年離れた系外惑星HD 3167 bで、予想に反して大気が存在する可能性が指摘された。米国、英国、中国、スペインの国際研究チームがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測結果を《The Astrophysical Journal Letters》に発表した内容だ。この発見は、溶岩惑星の大気保持メカニズムの理解を大きく揺さぶるものとなっている。

通説に反する大気の存在

HD 3167 bは地球の約1.6倍の半径と約4.8倍の質量を持ち、K型星(太陽より小さく温度も低い星。銀河系で最多の恒星種とされる)の周りを0.96地球日という極めて短い周期で公転している。溶岩惑星の研究では従来、高温の惑星は表面が溶けてガス化し大気を形成する一方で、低温の溶岩惑星は「むき出しの岩」で大気を欠くと考えられてきた。

ところがHD 3167 bは温度スペクトラムでも低温側に位置しながら、大気を保有する可能性を示唆している。研究チームはセカンダリエクリプス(惑星が恒星の背後を通過する際の観測)を通じてこの発見に至った。プライマリトランジット(恒星の手前を通過すること)とは異なるこの観測方法により、HD 3167 bの表面温度が従来の予測より大幅に低いことが判明した。昼側の熱が夜側に再分配されている可能性が示唆されている。公転周期が極めて短いため、この惑星は潮汐ロック状態にあり、常に同じ面が恒星に向いている。

初期地球の姿を映す鏡

研究の筆頭著者で、シカゴ大学地球物理科学部の博士課程学生ブランドン・パーク・コイ氏は、この成果の意義について述べている。「初期地球は溶岩惑星のような姿をしていたと考えられます。太陽系形成初期、地球を含む岩石惑星が誕生した際、微惑星の衝突エネルギーにより極めて高温だったのです。地球はかつてマグマオーシャン段階を経験し、表面全体が液体でした。この成果は、地球が誕生してから最初の数百万年の状態がどのようなものであったのかを研究する窓口を与えてくれます」

溶岩惑星は2000年代から研究対象とされてきたが、その形成と進化は太陽系の溶岩世界であるイオ(木星の衛星)とは大きく異なる。イオの火山活動は木星と他のガリレイ衛星の重力相互作用による潮汐加熱が原因だが、溶岩系外惑星の場合、恒星からの灼熱的な温度が直接表面を溶かし、その物質が蒸発して大気を形成する仕組みだ。

HD 3167 bの発見は、表面温度と組成に基づく大気の保持・維持メカニズムについて、従来の理解の見直しを迫るものとなる。

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出典: Universe Today