ベリリウムが星に飲み込まれた惑星の痕跡を暴く

同じ分子ガス雲から誕生した連星系は、通常は同じ化学組成を持つはずだ。ところが時には、その組成が大きく異なることがある。そうした違いは、原始星雲の微細な違いから生じるのか、それとも、一方の星が岩石惑星を飲み込んだ結果なのか──このような問いに対し、国際研究チームが新たな判別方法を確立した。鍵となるのは、地殻の約0.0004%しか占めていない稀有な元素ベリリウムである。

ブラジルの天文地球物理大気科学研究所の博士課程学生アン・ラスマンら研究チームが発表した論文「Planet engulfment in the chemically anomalous HD 129171/HD 129209 pair」は、太陽に極めて似た磁気活動と化学的性質を持つ連星系HD 129171とHD 129209を調査した。この連星系は地球から約180光年離れており、多くの点で類似しているにもかかわらず、金属量の豊富さが異なっていた。

研究チームは超大型望遠鏡(VLT)とその紫外可視エシェル分光器(UVES)を用いた分光観測データから、「正確な微分豊富度」を測定した。焦点を当てたのは、岩石惑星を構成する鉄、マグネシウム、ケイ素、カルシウム、チタンといった難揮発性元素の一つであるベリリウムだ。

ベリリウムが信頼できる指標となる理由

従来、惑星の飲み込みを示す指標としてはリチウムが用いられてきた。しかし、リチウムは星の主系列段階で比較的容易に破壊される。リチウム7は主系列段階で枯渇し、その豊富度は解釈が難しい。一方、リチウム6は星の前主系列段階で完全に消滅し、太陽型星の対流層のような低温環境でも破壊されるため、指標として信頼性に欠ける。

これに対してベリリウムは、恒星核生成では安定同位体を生成できない元素だ。大量に存在するのはビッグバン時の産物と宇宙線核破砕による生成物に限定される。ラスマンは「ベリリウムはより抵抗性が高く、その化学的痕跡はより長く残る」と説明している。研究チームが「太陽型星における飲み込み現象の診断ツールとして、このベリリウムが有効である」と指摘したのはこのためだ。

約11地球質量分の岩石物質を飲み込んだ形跡

測定結果は、HD 129171がベリリウムをはじめとする難揮発性元素に富んでいることを示した。これは「進化過程を通じて惑星物質を飲み込んできた」ことを強く示唆している。ベリリウムの豊富度パターンから、研究チームは「11.2地球質量(M⊕)分の岩石物質の飲み込みモデルでよく説明できる」と結論付けた。

この物質が単一の大型惑星に由来するのか、複数の小型天体の集合なのかについては、太陽型星の内部混合が極めて効率的であるため、最終的な化学的痕跡では区別できないとみられている。

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出典: Universe Today