月面基地への道を開く次世代貨物着陸機、NASAが進捗報告
Blue Origin、Firefly Aerospace、Intuitive Machines、Voyager Technologies、Northrop Grummanの5社がNASAの商用月面ペイロード・サービス(CLPS)に向けた着陸機の開発を進める中、NASAが最近の進捗状況を動画とプレスリリースで詳細に公開した。これらの取り組みの先にあるのは、月面への常設人類基地の構築という大きな目標だ。
各企業が進める独自の月面ミッション
Blue Originの「Blue Moon MK1」は統合試験段階にある。同社の初号機「Endurance」はNASAジョンソン宇宙センターで環境試験を完了した。試験内容は、月の厳しい気温変化に耐えられるかを確認する熱真空評価を含むものだ。加えてNASAの追跡データ中継衛星システムおよびディープスペースネットワークとの通信確認にも成功している。次段階では極低温推進剤の搭載と追加試験を行い、2027年初頭のフライトを目指すNew Glennロケットへの搭載を予定している。
Firefly Aerospaceは既に1度の月面ミッション経験を持つ小規模企業だが、野心的な計画を立てている。「Blue Ghost Mission 2」では、着陸機をFirefly独自の軌道宇宙機Elytraに搭載し、高さ6.7メートルのシステムを構成する。このミッションは米国初の月の裏側着陸を目指す。中国がすでに月の裏側への着陸に成功しているため、米国としては初めてのミッションとなる。月の地質調査のほか、地球からの電波ノイズが少ない月背面の電波環境を利用して宇宙の「ダークエージ」(暗黒時代)を研究する計画だ。
Intuitive Machines(IM)は3度目の月面飛行「IM-3」の準備を進めている。このミッションではNova-C着陸機「Trinity」が、人類初の月面データ中継衛星「Altus-1」を搭載する。Trinityはマーシャル宇宙飛行センターで熱真空試験に合格したばかりで、現在は組立・統合段階にある。着陸目標は月の著名な現象「Reiner Gamma」で、磁気異常の一種である月面渦巻き模様だ。科学的な成因が未解明である。このミッションはNASAペイロード5個とイタリア宇宙機関のペイロード1個を搭載する。
Voyager Technologiesは重い荷物を月面に運ぶための「インフラ基盤級」着陸機「Griffin-1」を開発中だ。2026年後半の打上げを予定しており、主要なペイロードはAstrolab「FLIP」(FLEX Lunar Innovation Platform)で、NASAの追加ペイロード5個を搭載する。Griffin-1は質量特性試験を完了し、環境試験へと進む。その後ピッツバーグで最終組立を行い、数か月以内にケープカナベラルからの打上げを予定している。
月の長い夜を乗り切る技術開発
グループ内で唯一の従来型大型航空宇宙企業であるNorthrop Grummanは、月面の厳しい低温環境に対抗する3つの異なる技術実証ペイロード開発を計画している。Gateway宇宙ステーションのHALOモジュールを基に改良されたこれらのプラットフォームは、NASAが軌道運用よりも表面運用に重点を置き始めたことを象徴している。共有表面電力インフラを実証し、月面の「長い夜」を生き延び、将来の有人月面基地を支える電力網を運用可能な状態に保つことが目標だ。
これらすべての活動は、月に有人基地を建設し、月面と地球周辺宇宙(シスルナ空間)の両方の開発の拠点とするという共通の目標に向かっている。月の持つ利点は地球への近接性と著しく低い重力にあり、軌道への物資打上げコストを削減できる。衛星軌道周辺インフラの充実が進むにつれ、NASAは商用企業パートナーへの依存をより強める方針を示している。
出典: Universe Today
