ネプチューンのトロヤ小惑星群がついに発見される
ベルファスト・クイーンズ大学の研究チームが、数十年にわたって天文学者たちを悩ませてきた謎を解き明かした。ネプチューンの軌道上に存在する「トロヤ小惑星群」の実在を、初めて直接観測によって確認したのである。この発見は2026年10月、天体物理学専門誌『ザ・アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に論文として掲載された。
百年越しの謎の解明
トロヤ小惑星とは、惑星の公転軌道上で惑星の前方と後方に位置する小惑星群を指す。1906年の望遠鏡観測以来、木星の軌道上に「トロヤ」と「ギリシャ」と呼ばれる両集団が確認されていた。その後、天文学者たちは土星と天王星の周辺でも同様の小惑星族を発見した。だがネプチューンについては、何十年も探し続けられながらトロヤ小惑星群が見つからないままだった。
ベルファスト・クイーンズ大学アストロフィジクス研究センターの講師で天文学者のメグ・シュワムブ博士が率いるチームが、この謎に終止符を打つことになる。研究には、インスティトゥート・デ・アストロノミア・ジェオフィジカ・エ・シエンシアス・アトモスフェリカス(IAG)、プラネタリー・サイエンス・インスティテュート(PSI)、ディーラック・インスティテュート、ミシガン大学AI社会研究所(MIDAS)、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所(JHUAPL)、全米科学財団系ノイルラボなど、世界中の機関から研究者が参加した。
ベラ・ルービン観測所が切り開いた道
鍵を握ったのは、チリのアンデス山脈上空に設置されたベラ・C・ルービン観測所(Vera C. Rubin Observatory)である。この次世代望遠鏡は、口径8.4メートルのシモニー・サーベイ・テレスコープと、これまでで最大級のデジタルカメラ「LSST(Legacy Survey of Space and Time)カメラ」を組み合わせている。2025年6月に運用開始したベラ・ルービン観測所の最大の特徴は、地上望遠鏡として最速の速度で夜空を観測できる能力だ。
シュワムブのチームは、2025年に実施された初期試験観測データを分析対象として選んだ。膨大なデータセットを統合した結果、ネプチューンの後方(「後行」)トロヤ小惑星群の本来の構成員と考えられる小惑星2個と、候補天体1個を特定することに成功した。これにより、既知の後行トロヤ小惑星群の個数は倍増させられた。
地球からの観測においては、過去10年間、これらのトロヤ小惑星群が銀河系中心部の前に位置していた。この領域は極めて高密度で明るいため、その前景にある微かな光源を検出することが極めて困難だった。シュワムブは、「後行雲がこの空域から移動し始めたことと、ベラ・ルービン観測所の比類なき観測深度と空域カバレッジが組み合わさり、今回の発見が可能になった」と説明している。
今後9年間にわたってLSST観測が続行される過程で、ベラ・ルービン観測所はネプチューンの前行および後行トロヤ小惑星群から数十~数百個のトロヤ小惑星を発見することが期待される。さらに、海王星外領域とカイパーベルト内の氷天体については数万個の発見が予想されている。
出典: Universe Today
