ダークマターの直接検出へ、SuperCDMS SNOLABが観測開始

カナダのオンタリオ州スダベリー付近にあるVale Creighton鉱山の地下1.6キロメートルに設置された超低温ダークマター探索実験(SuperCDMS SNOLAB)が、2026年9月に科学観測を開始した。この施設は、宇宙に満ちながらもその正体が謎のままとなっている「軽い」ダークマター粒子の直接検出を目指す、世界有数のダークマター検出器である。

SuperCDMS SNOLABは2018年に本格的な建設が始まり、今回の「初期科学段階」の開始に至るまで、およそ10年の建設期間を経てきた。28の異なる研究機関による国際協力プロジェクトであり、今後3年間の運用を予定している。ただし、観測が順調に進めば、その期間をさらに延長する可能性も検討されている。

極低温の結晶が捉えるかすかな兆候

検出器の中核は、ホッケーパック程度の大きさに加工されたシリコンとゲルマニウムの超高純度結晶24個である。これらの結晶はそれぞれ、絶対零度に近い温度に冷却された冷凍機に格納されている。ダークマター粒子が超低温の結晶に衝突すると、結晶格子内にフォノン(微小な振動)が生じるとともに、極めて微弱な電気信号が発生する。この瞬間的な信号を捉えるため、各結晶には超伝導センサーが取り付けられており、これらも超伝導性を維持するため冷却されている。

古代ローマの沈没船から採取した鉛盾

ダークマター粒子による信号は非常に弱いため、他のあらゆる放射線からの保護が極めて重要である。検出器全体は銅、ポリエチレン、ラドン遮蔽材の層で厳重に覆われており、さらに数十億トンの岩盤が地表との間に存在する。

特筆すべき遮蔽材として、超高純度の鉛が使用されている。現代の超高純度鉛は自然な放射性を帯びているため、プロジェクトチームはローマの沈没船から引き揚げた古い鉛を採用した。地中海の海底で数千年の時を経た鉛は放射性物質が自然崩壊してしまっており、高い感度を要求される機器の遮蔽に最適な素材となる。

現在、全ての遮蔽装置と検出素子の設置が完了し、科学チームは秋を通じて初期実験を進行中である。機械の最適化が完了していない現段階においても、新たで興味深い成果が得られる可能性がある。年末に実施される最初の保守期間を経て、2027年には完全に最適化された科学観測が正式に開始される予定である。

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出典: Universe Today