ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡が打ち上げ、宇宙観測の新たな地平へ
総事業費43億ドルのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡が2026年8月31日、フロリダ州ケネディ宇宙センターからSpaceXのファルコンヘビーロケットで打ち上げられた。この観測装置には300メガピクセルカメラが搭載されており、宇宙の謎に満ちた力を明らかにするための観測を開始する。ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope)と比べると100倍広い視野を持つローマン望遠鏡は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)の先駆的な成果を補完する存在として機能する予定だ。NASAが21世紀に打ち上げた主導的な天体物理学ミッションとしては、2021年のウェッブに次ぐ2番目の事例となる。
スパイ衛星用鏡を再利用した望遠鏡
ローマン望遠鏡の視野の広さは驚くべき水準に達している。開発チームに属する研究者は「最大規模の調査から得られる単一画像を完全に表示するには、4K解像度テレビ50万台以上が必要になる」と説明している。
この観測装置の中核を成すのは、直径7.9フィート(2.4メートル)の鏡である。これはハッブル望遠鏡の主鏡と同じサイズだが、米国の政府機関である国家偵察局(National Reconnaissance Office)から寄贈された、かつての偵察衛星用の望遠鏡から流用したものだ。国家偵察局は2012年に2台のスパイ衛星用望遠鏡をNASAに引き渡した。それまで広視野赤外線探査望遠鏡(WFIRST)と呼ばれていた本ミッション設計の段階で、科学者たちがそのうち1台に目をつけた。現在のところ、もう1台の利用方法はまだ決まっていない。
設計段階での急な方針転換により、元々の計画と比べて観測装置全体がほぼ2倍の規模に拡張された。視野性能の向上をもたらす一方で、事業費も増加した。エンジニアリングチームはこの新しい鏡を組み込むため、光学特性を調整し、より低温での動作に対応させるための大規模な改造作業に取り組まなければならなかったという。
3ヶ月の航行を経てL2点へ
ファルコンヘビーロケットは日本時間の2026年9月1日午前3時25分(米東部夏時間午前7時25分)にケネディ宇宙センターの39A発射台から打ち上げられた。27個のケロシン燃料エンジンで推進されるこのロケットは、総推力500万ポンドで重量20,000ポンド(9トン)のローマン望遠鏡を搭載していた。打ち上げ後、ロケットの2つの再利用可能な側部ブースターはケープカナベラルへの帰還飛行を行い、本体は観測装置を月から4倍遠い軌道へと向かわせた。
ローマン望遠鏡は太陽・地球ラグランジュ点(L2 Lagrange point)の周回軌道を目指している。この重力平衡点は地球から約100万マイル(150万キロメートル)離れた位置にある。実際の軌道到達には約3ヶ月を要する見込みで、その間に地上チームが観測装置の起動と校正を行う。科学者たちは年末までに最初の科学画像を公開する計画を立てている。
NASA長官ジャレッド・アイザックマンは「ローマンは私たちがNASA全体で見たいと考えるまさにその種の成功事例だ。予定より前倒しで納入され、予算内で完成したこのミッションは、NASA職員と業界パートナーからの10年以上にわたる献身を反映している」と述べた。
