白色矮星と赤色矮星の連星が「宇宙のレーザー」を放出する仕組みが解明
カリフォルニア工科大学(Caltech)の研究チームが、白色矮星と赤色矮星(M型矮星)からなる連星系が放つ強力なラジオ波の謎を解き明かした。スーパーコンピュータシミュレーションを用いた初の詳細な分析により、これらの二つの星が相互作用して「宇宙のレーザー」とも呼べる集中したラジオ波ビーム(メーザー)を生成する過程が明らかになったのだ。
天文学者らは長年、特定の連星系から数分間隔で放出される長周期のラジオパルスに注目してきた。これは中性子星(パルサー)が秒単位で放つラジオパルスよりも遥かに長い。白色矮星とM型赤色矮星の同期した運動がこうした強力なラジオビームの原因と推測されていたが、その詳しい仕組みは謎のままだった。
Caltech理論天体物理学・相対論・宇宙論グループ(TAPIR)とウォルター・バーク理論物理学研究所に属するヨウツィ・ジョン(Yici Zhong)とイライアス・モスト(Elias R. Most)の二人が発表した研究は、この謎を解明する重要な手がかりを与えている。ジョンはシャーマン・フェアチャイルド理論天体物理学博士研究員であり、モストは理論天体物理学の准教授でウィリアム・ハート・スカラーの称号を持つ。彼らの研究成果は『The Astrophysical Journal Letters』に掲載された。
電子サイクロトロンメーザー不安定性が駆動力
連星系が放つラジオパルスの仕組みは、実は太陽系内ですでに確認されていた現象に遡る。木星とその内側のガリレイ衛星イオの間で発生するラジオ放射がそれだ。天文学者らは1955年にこのラジオバースト現象を最初に観測したが、その原因は謎だった。
1969年、Caltech の研究者ピーター・ゴールドライク(Peter Goldreich)、リー・デュブリッジ教授(Professor Lee A. DuBridge)、ドナルド・リンデン・ベル(Donald Lynden-Bell)は、イオが木星の磁場を横切る際に二つの天体間に強力な電流が生じるという仮説を提唱した。さらに軌道運動が、イオと木星の磁気圏の間に百万アンペアの電流を筒状に流すことを議論した。この予測は後に人工衛星の直接観測で確認され、研究により電流がラジオ波を駆動する仕組みも明かされた。この現象は電子サイクロトロンメーザー不安定性(ECMI)と呼ばれている。電子が磁場を螺旋状に移動する際、ラジオ放射が生成される仕組みだ。
連星系への応用と効率の向上
ジョンとモストは、この同じ仕組みが二つの既知の白色矮星—赤色矮星連星系「GLEAM-X J0704–37」と「ILT J1101+5521」でも作用しているかを調べた。前者についてはCaltech研究者アントニオ・ロドリゲス(PhD '25)が以前、ECMIによって駆動されていることを確認している。
連星系の白色矮星と赤色矮星が相互に公転する過程で(GLEAM-X J0704–37の場合、周期は2時間)、ECMIを支えるパワフルな電流が生成される。電流中の電子がECMIに対して不安定になると、メーザーが生じる。パルサーと同様にメーザーは常時発せられているが、観測者の視線上を横切る時だけ見えるため、パルスとして観察される結果となる。
モストはこのプロセスを「電子が集団的に不安定になり、磁場線の周りをウィーンワルツを踊るように一斉に回転する」と表現している。今回の成果は、ゴールドライクとリンデン・ベルが木星とイオについて唱えた理論が太陽系外の現象にも適用可能であることを確認した。加えて、この仕組みがこれまで考えられていたより10倍効率的であることも判明した。
出典: Universe Today
