銀河系の中心、超巨大ブラックホールと超新星残骸の激しい相互作用が明らかに
銀河系中心の超新星残骸Sgr A East(射手座A東)が、Chandra X線天文台による新しい観測画像で詳細に捉えられた。この画像では、約10,000年前に爆発した超新星の名残が、銀河系の中心に潜む超巨大ブラックホール・射手座A*(Sgr A*)の前で輝く様子が映し出されている。Sgr A Eastは銀河系中心に最も近い超新星残骸であり、今回の観測結果から、この残骸とブラックホールが単なる近隣の関係ではなく、互いに激しく影響し合う存在であることが明らかになった。
McGill大学のMayura Balakrishnanを筆頭とする研究チームは、この混雑した領域を整理するための特殊な手法を用いた。複数のX線源が密集する環境から、Sgr A Eastのみを分離して観測することで、超新星と周辺環境の関係をより鮮明に分析できるようになった。研究成果は、超新星残骸が周囲の分子物質へと膨張し、それを圧縮・加熱することで、キャビティを形成し、その領域の三次元構造を形作っているという結論を示している。
複数の波長データで明かされた銀河系中心の複雑な実態
今回の画像は、複数の観測機器からのデータを組み合わせた合成画像である。Chandra X線天文台のX線データ(低エネルギー波を緑、高エネルギー波を青で表示)に、NSFのVery Large Array(VLA)からの電波データと、ジェームス・クラーク・マクスウェル望遠鏡からのサブミリ波データを重ね合わせた。この多波長観測により、研究チームはX線信号の発信源を従来より正確に特定することに成功した。
銀河系中心の複雑さは、超新星残骸とブラックホールだけでは説明できない。熱い星団からの恒星風や、背景にある通常の星からの微かな光など、複数の高エネルギー現象が同じ領域で発生している。これらの各種信号源を分離することで、研究チームは鉄、硫黄、アルゴン、カルシウムといった元素の位置を、超新星爆発に由来するものとして詳細にマッピングすることができた。
1999年の打ち上げから27年目の新しい発見
Chandra X線天文台は、NASAの主力X線望遠鏡として1999年に打ち上げられ、現在も観測を続けている。当初の設計寿命を大きく超え、2030年代まで運用可能と予想されていた。しかし、ホワイトハウスが提案した予算削減の影響で、本観測機の将来は不確実な状況に置かれていた。これに対し、米国議会はNASAへのより一層の支援姿勢を示し、提案された削減案のほとんどを否決している。2026年9月1日には、議会は2027年度のNASA予算を現状維持とすることを決定したが、12月11日の期限までに予算延長案の承認が必要となる。
出典: Universe Today
