初期宇宙の銀河の謎を解く──最新シミュレーション「MEGATRON」が宇宙の歴史をつなぐ

宇宙が誕生してから100~400万年後に最初の恒星が形成されたと考えられている。しかし、ハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の高い光学性能をもってしても、初期宇宙のこれら古い恒星を直接観測することは難しい。そこで国際研究チームが採った方策が、MEGATRONと呼ばれる最先端の宇宙シミュレーション・スイートの活用だ。

バース大学、カヴリ宇宙物理学研究所、パリ天体物理学研究所、ルント天文台、ケンブリッジ・カヴリ宇宙論研究所、ケンディッシュ研究所、カヴリ粒子天体物理・宇宙論研究所(KIPAC)、ステレンクンディグ天文台、天体物理学研究所、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)から集結した研究者たちが率いるこのプロジェクトは、放射線、化学、銀河形成の精密なモデルを組み込み、初期宇宙の最も詳細なシミュレーションを実現した。その成果は『Open Journal of Astrophysics』に4本の論文として発表されている。

ビッグバンから宇宙化学へ──恒星が刻む銀河進化の痕跡

MEGATRONは2023年に始まり2030年まで運用予定のプロジェクトだ。研究チームはこのシミュレーション・スイートを用いて、数十億年にわたって恒星がいかに星間および銀河間ガス(ISM・GSM)を形作ってきたのかを調査した。ガスの流動、恒星光の伝播、化学濃度の変化を追跡する高度なコンピュータモデルを組み込むことで、銀河系と同程度の質量に成長した若い銀河の進化を追うことが可能になった。

バース大学物理学科の主任研究者マーティン・レイ博士は、MEGATRONがもたらす意義について述べている。同プロジェクトは、JWSTが捉えた最初期の銀河と銀河系の恒星化石記録という、天文学の2つの最先端データセットを解釈するための統一的な物理的枠組みを提供する。この相補的な観測により、以前は不可能だった方法で初期の恒星に関する競合モデルを検証できるようになったのだ。

シミュレーションはビッグバンの直後の条件から始まる。当時の宇宙は重元素を含まない純粋なガスで満たされていた。次に最初の恒星(ポピュレーションIII)の誕生と、それらが放つ激しい放射、そして超新星爆発による重元素の放出が加わる。これらの新しく生成された元素が次世代の恒星や銀河の一部となる過程を、シミュレーションが追跡する。

古い恒星が保つ「化学の指紋」とJWST観測を結ぶ

結果が示したのは、星光とガスと新たに鍛造された元素の相互作用を正確に捉えることが、JWSTの革新的な若い銀河観測と古い恒星の化学組成をつなぐ鍵だということである。この過程を理解することは、宇宙を構成する元素がどこから生まれたのかという根本的な問いに答える上で不可欠だ。

研究成果はまた、従来のより単純な銀河進化モデルが、恒星放射と複雑な化学過程による銀河間ガスへの影響を過小評価していたことも示唆している。MEGATRONが達成した極めて高い分解能により、単純なモデルでは解析できなかったガス構造を明らかにできた。

レイ博士は「炭素、酸素、鉄など、私たちの世界と生命を可能にする元素はすべて恒星で鍛造されました。これらの元素がどこから来たのかを理解するには、最初の恒星がどのように形成され、周囲を豊かにしたのかを理解する必要があります。MEGATRONは、詳細なシミュレーションをJWSTの観測と古い恒星に保存された化学的特徴と比較することで、こうした考えを直接検証できます」と語っている。

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出典: Universe Today