木星の4つの衛星が揃う相互食の季節、2026年後半から2027年初頭に観測好機
木星の4つの主要な衛星イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストが互いに前を横切ったり影を落とし合う「相互食(mutual transit-eclipse season)」が、2026年後半から2027年初頭にかけて到来する。この現象は5年ごとに繰り返される特別な観測機会で、木星の衛星系がみせる複雑な相互作用を目撃できる時期だ。
軌道傾斜が生み出す5年周期
木星の衛星が相互食を起こすのは、軌道傾斜があるからこそ実現する現象である。イオからカリストまでの各衛星の軌道傾斜は木星の赤道面に対して1度未満だが、木星の赤道面自体が公転軌道に対して3度強傾いている。さらに木星の公転軌道は黄道面に対して1度強傾いているため、この複数の傾斜角が組み合わさることで定期的に相互食が発生する仕組みだ。過去には2015年から2016年、2020年から2021年に同じ現象が観測されている。
特にカリストは4つの主要衛星の中で唯一、場合によっては木星の影を避けることがある珍しい衛星である。本季節ではカリストが2025年5月20日に再び木星に影を落とし始めており、2028年8月5日までこの状態が続く予定だ。
観測対象としての豊かさ
相互食として観測される現象には複数の種類がある。一つの衛星が別の衛星の前に通過する掩蔽や、衛星の影が別の衛星を横切る食がそれぞれ総食、環食、部分食の3つのパターンで現れる。観測者の目利きあれば、影の大きさや濃淡だけでどの衛星が影を落としているかを判定することも可能だ。カリストの影は大きく不規則で拡散しているのに対し、イオの影は深黒い点として見える。
イオ、エウロパ、ガニメデの内側3つの衛星は1対2対4の軌道共鳴関係にある。この共鳴により、極めて稀に3つの衛星の影が同時に木星の円盤上を横切る「三重影食」が発生することもある。最後の三重影食は2015年1月24日に起きており、次の発生は2032年3月20日と予測されている。
現象の予測にはICMMEのサイトやSETI PDS rings nodeのリソースが利用でき、Stellariumなどのプラネタリウムソフトウェアでも衛星現象の予測とシミュレーションが可能である。最大のガニメデでも視直径わずか1.3秒角と小さいため、観測には技術的な挑戦が伴うが、小型の望遠鏡でも総食中の衛星が徐々に暗くなり再び明るくなる様子は捉えられる。
出典: Universe Today
