超高効率コンピュータが宇宙人文明の目印に――遠赤外線で検出可能な「Slysh halo」仮説

高度な宇宙人文明が存在するなら、極めて効率的なコンピュータを大量に使用しているはずだという考え方から、新しい地外知的生命探査の手法が提案されました。arXivに掲載された論文で著者は、そうした超高効率コンピュータから放出される廃熱が、私たちの望遠鏡で検出可能な独特のシグネチャを作り出すと主張しています。

効率性の追求が生み出す熱署名

コンピュータが高度な文明の中心にあると考えると、宇宙規模で最も進んだ文明ほど、計算機能を最大限に効率化しようとするはずです。この効率化の鍵となるのが温度です。V. I. Slyshが提唱した理論に基づき、技術が超低温で動作するほど効率的になるという原理があります。

現在のデータセンターは膨大な廃熱を生成するため、冷却システムが不可欠な状態ですが、より効率的なチップなら室温程度で冷やせます。その効率の限界を定めるのはLandauer原理で、非可逆計算の最大効率は動作温度に比例します。例えば、摂氏温度で言えば絶対温度10ケルビンで動作する最適なコンピュータは、室温の300ケルビンで動作するものよりも30倍効率的になるのです。

星系を取り巻く計算機球体

論文で提案される「Slysh halo」(Slysh后光)は、この効率性を究極まで追求した構想です。高効率コンピュータが恒星の周りに広がる球体状に配置され、電力源として星からの光を受け取りながら、深宇宙の冷たさ(絶対温度5~30ケルビン程度)で動作するというものです。

こうした構想の計算機から放出される廃熱は遠赤外線またはサブミリメートル波領域に現れるとされます。ただし障害があります。太陽のオールトの雲のような星系周辺のデブリも同じサブミリメートル帯で放射を出しており、区別が難しい可能性があります。加えて、極めて効率的な計算は分散的であり、その廃熱は恒星に比べて非常に微弱です。

それでも最適に設計されたSlysh haloなら、100光年の距離からも検出可能な明るさを持つと予想されます。またデブリhaloと異なり、Slysh型コンピュータの放射は単一の狭い周波数帯域に集中するという特徴があります。

現在の観測機器が到達した感度

現在のALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)などの遠赤外線・サブミリメートル望遠鏡の感度は、仮説的なSlysh haloの検出にちょうど達しようとしている段階にあります。既に取得されている観測データの中から、そうした兆候を探す作業も可能だといわれており、さらに高度な遠赤外線・サブミリメートル望遠鏡が運用を開始すれば、検出確度はいっそう高まることが期待されます。

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出典: Universe Today