56億ピクセルの宇宙地図が完成 4億個の天体を一度に観測
暗黒エネルギー分光観測装置(DESI)のプロジェクトチームが、宇宙を写した過去最大の2次元地図となる第11次データリリース(DR11)を発表した。この地図は5.6兆ピクセルで構成されており、恒星、銀河、ブラックホール、小惑星を含めて約40億個の天体を記録している。可視光と近赤外線で観測した範囲は空全体の約75%に及ぶ。
DESIは2012年に、宇宙膨張を駆動する謎の力である暗黒エネルギーの影響を測定するため実運用を開始した。これまでにキットピーク国立天文台(KPNO)のニコラス・U・メイオール4メートル望遠鏡を使用し、数千万個の銀河とクェーサーの光学スペクトルを取得してきた。
このプロジェクトには160名以上の科学者が参加している。暗黒エネルギーカメラ・レガシー調査(DECaLS)、メイオール・z帯域レガシー調査(MzLS)、北京アリゾナ天空調査(BASS)といった複数の観測プログラムが連携し、ダークエネルギーカメラや複数の望遠鏡、さらにはNASAの広視野赤外線探査衛星(WISE)の観測データを統合させた。ローレンス・バークレー国立研究所の共同リーダーであるデビッド・シュレーゲル博士は「天文学研究の基盤となっている」と指摘し、「天文現象を研究する際、多くの場合、レガシーイメージングビューアーで観測対象を確認することから始まる」とコメントしている。
宇宙膨張の謎に迫る新知見
今年前半にDESIは当初予定の5年間の観測ミッションを完了し、局所宇宙から110億光年先までの47個以上の銀河とクェーサーをマッピングした。この2次元地図により、銀河や恒星の位置と明るさが記録され、DESIは異なる波長で対象天体の光を測定してその距離を決定できるようになった。これが最終目標である宇宙の最大規模かつ高分解能の3次元地図作成につながり、科学者たちは異なる宇宙年代における銀河の集団化パターンを調べることが可能になる。
DESIの初期結果は、暗黒エネルギーの影響が時間とともに減弱している可能性を示唆している。これはハッブル宇宙望遠鏡による深い宇宙観測から導き出された「暗黒エネルギーが加速し続けている」という従来の見解と矛盾する。このシナリオに従えば、宇宙は無限に膨張して最終的に全ての恒星が消滅するのではなく、遠い将来に膨張が停止し均衡状態に達する可能性もある。
次世代天文学を支える基盤へ
この地図はさらに広い応用を持つ。重力レンズ、超新星などの一過性現象、高速電波バースト(FRBs)、ガンマ線バースト(GRBs)といった稀な現象の研究に役立つほか、暗黒物質の調査にも貢献する。暗黒物質は宇宙の質量の85%を占める謎の物質である。
データはまた、膨大な天文観測データを解析するための機械学習とAIツールの訓練用基盤としても機能する。べラ・C・ルービン天文台とNASAのナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡といった次世代観測施設が生み出すデータ量に対応するためだ。ルービン天文台は時間領域スカイサーベイ(LSST)の10年間のミッションで毎夜約10テラバイト、ローマン望遠鏡は5年間の主観測期間中に約20ペタバイト(2500テラバイト)のデータを生成する見込みである。
全体の星図はレガシーサーベイスカイビューアーを通じて公開されており、オンラインで誰もが閲覧可能だ。NSF NOIRLabの共同リーダーであるアルジュン・デイ博士は「夜空の観測は人間の文明にとって古い伝統であり、今回のデータは誰もが宇宙の驚異を体験する機会を与える」と述べている。DESIは2027年に最初の5年間の成果をより詳細にまとめた結果を発表する予定であり、観測は2028年まで継続される。
出典: Universe Today
