ブラックホールから光速を超える流れを読み解く——相対性理論が示す時空の真の姿
1969年、後にノーベル賞を受賞することになるロジャー・ペンローズが、回転するブラックホールからエネルギーを抽出する方法を理論的に導き出した。宇宙船を高速回転するブラックホールの近くまで接近させ、ペイロード(搭載物)を正確な角度で放出すれば、出発時より多くのエネルギーを持って帰還できるというのだ。この過程ではブラックホール自体が微かに小さくなるが、事象の地平線を越えるものは何もなく、物理法則は破られない。にもかかわらず、宇宙はあたかも「フリーエネルギー」を与えてくれるように見える。このペンローズ効果の仕組みを理解するには、時空(spacetime)について、私たちが通常持つ概念を大きく転換する必要がある。
ニュートンから相対性理論へ——時空像の3段階
一般的な物理学では、空間をニュートン的に捉える。空のステージのようなものだ。物体がその中に存在し、移動し、相互に力を及ぼすが、空間そのものは受動的な背景に過ぎない。広大な3次元の部屋のようなもので、その内部に何があるかは問題ではなく、時空は独自の性質を持たず、単に「物事が起こる場所」というだけの存在だ。
ところがアルベルト・アインシュタインの一般相対性理論は、この図像を根本から変えた。ここでは時空は受動的なステージではなく、それ自体が物理的な形状を持つ対象である。質量とエネルギーがその形状を湾曲させ、その湾曲した形状こそが私たちが重力として経験するものだ。時空は一つの統一された4次元の存在として、引き伸ばされたり、曲げられたり、ねじられたりすることができる。粒子や力、場と同様に、時空もまた物理的な存在を持つ動的な実体なのだ。
しかし相対性理論による理解も、さらに進められる必要がある。時空が形状と振る舞いを持つのであれば、それを流体(fluid)のように扱うことができるという考え方である。ここで重要なのは、分子から成る実在の液体を意味するのではなく、その内部の質量やエネルギーに応答する独自の局所的幾何学を備えた実体として捉えるということだ。
回転する天体が紡ぎ出す時空の渦——フレームドラッギングの正体
スプーンで蜂蜜をかき混ぜるとき、スプーンのすぐ近くの蜂蜜は最も速く動き、少し離れるとより遅い速度で回転し、さらに遠いところではほぼ動かなくなる。一般相対性理論によれば、回転する質量はこと時空に対して全く同じことを行う。時空そのものが回転を拾い上げ、その物体の近くで最も強く、距離とともに減衰する回転パターンを形成する。この現象が「フレームドラッギング」(frame dragging)だ。質量が時空をドラッグし、回転する質量はそれを回転パターンで引きずるのである。
この3番目の視点では、時空は単なるステージではなく、能動的に参加する流体となる。時空は局所的な流れを持ち、内部の質量の働きに応答し、その後、質量の動きに影響を与える。移動する物体と時空との間には、水を通して動く場合のような、相互的な対話が成立する。物体が空気や水をかき回すのと同様に、回転する物体は時空そのものの幾何学をかき回し、ブラックホール周辺で形成される光速を超える流れもこの相互作用から生じるのだ。
出典: Universe Today
