月面に刻まれたSpaceXロケットの衝突跡—NASAと韓国の協力で撮影成功
SpaceXのファルコン9ロケットの上段が8月5日、月面に衝突した。軌道上での重力の変化により、Firefly AerospaceのBlue GhostとispaceのResilienceという2機の月着陸機を打ち上げた後の上段が月へ向かう軌跡を描き、月の表側、アインシュタインクレータ付近に衝突したのだ。重さ約4,000キログラムのロケット上段は時速およそ9,000キロメートルで月面に激突した。
この事象の記録は国際的な協力によって実現した。NASA傘下のCenter for Near Earth Object Studies(CNEOS)は、衝突前から上段の軌道を計算し、落下地点を特定していた。CNEOSが算出した予測落下範囲は、長さ約3.3キロメートル、幅約640メートルの楕円形で、月の地形を考慮したものと考慮しないものの2通りが作成された。
これらの座標データは、韓国の月周回衛星「Danuri」(正式名:Pathfinder Lunar Orbiter)に引き渡された。Danuriは数時間後に衝突地点を撮影し、CNEOSの予測が約1キロメートル以内の精度であることを確認したのだ。
月周回衛星LROによる詳細な撮影
その後、NASA月周回衛星(Lunar Reconnaissance Orbiter、LRO)が本撮影を担当した。8月11日から12日にかけて、高度約96キロメートルの軌道からクレータを撮影している。LROは極軌道上で月が自転する際に、その下を通過するたびに観測するため、衝突から撮影まで6日間の時間差が生じた。
特定の目標を撮像することは想像以上に複雑な作業だ。LRO搭載のLunar Reconnaissance Orbiter Camera(LROC)の狭角カメラと広角カメラで毎回通過時に捉えるよう、衛星を傾ける必要がある。さらに重要なのが、撮影時刻の正確さだ。数秒のずれでも、クレータが視野の中央からはずれたり、完全に見失ったりする恐れがある。この困難な操作は成功に終わり、衝突前後の比較画像が得られた。
クレータの規模と衝突の証拠
撮影されたビフォーアフター画像の解析から、新たに形成されたクレータは幅約18メートル、深さ約3メートルと判明した。狭角カメラで3倍に拡大した画像は、幅約400メートル(約1/4マイル)の範囲をとらえている。
複数の角度から異なる照度条件で撮られた4枚の画像は、衝突の異なる特徴を浮かび上がらせた。白く見える放射状の筋とまだら模様は、衝突時に掘り起こされた新鮮な物質(エジェクタ)で、周囲の暗い領域は宇宙風化とマイクロメテオライト衝撃によるものだ。各画像は2倍に拡大され、約300メートル幅の領域を捉えている。
SpaceXは、今回の衝突は特例であり、通常は宇宙ゴミを適切に処分していると述べている。重力と太陽活動の組み合わせが、ロケット上段の月衝突をもたらしたとしている。
出典: Universe Today
