銀河系中心のブラックホール直近を周回する星を発見

銀河系の中心に位置する超大質量ブラックホール「いて座A*」(Sgr A*)の周囲を周回する恒星の中で、これまでで最も近い距離まで接近する星が新たに発見された。研究チームが8月19日に学術誌『Nature』で発表した成果である。

この新発見の星は極めて偏心の大きい楕円軌道を描いており、いて座A*に極めて近づくことが特徴だ。その接近距離の近さゆえに、これまで測定が困難だったブラックホール自体の自転(スピン)を初めて定量的に把握する手がかりとなる可能性がある。

数十年の観測を経た発見

いて座A*の存在は1970年代から認識されていたが、実際の撮像に成功したのはここ数年のことである。それまでの長期間、科学者たちはこのブラックホール周辺を公転する恒星群を観測することで、間接的に理解を深めてきた。

個々の恒星は明るさとスペクトル特性から質量を推定できる。複数年にわたって集積した観測データから各星の軌道を再構成し、その公転する恒星群の質量と運動から逆算することで、いて座A*の質量がおよそ10の37乗キログラムという超大質量であることが判明している。つまり、これらの恒星は他の方法では到達不可能な環境を調べるための「観測装置」として機能してきた。

ブラックホール自転の測定へ道を開く

いて座A*の周囲には相対的に近い軌道を回る恒星の集団が存在する。今回新たに特定された星はこの集団の中でも、ブラックホールへの最接近距離が最小である。その接近の極めて近さが、ブラックホールの自転を読み解く新たな観測手段を提供するとみられている。

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出典: Ars Technica Science