太陽風の中に「ねじれた磁場の編み目」Parker Solar Probeが発見

太陽の周辺を流れる太陽風の中に、不可解な構造を持つ磁場が存在することが明らかになった。ブラウンシュヴァイク工科大学のマサトミ・イイザワと共同研究者らが、Parker Solar Probe(パーカー・ソーラー・プローブ)から得られた高精度の磁場データを分析し、《Astrophysical Journal Letters》に新たな論文を発表した。この発見は、太陽コロナが表面よりも数百万度も高温である理由に迫る鍵となる可能性を秘めている。

2つの物理学的枠組みの狭間で生まれた現象

太陽物理学者たちは、太陽風を理解するため長年にわたり2つの異なるアプローチを用いてきた。1つは太陽風を導電性流体として扱う手法で、磁気流体力学(magnetohydrodynamics)と呼ばれる数学的枠組みを使い、大規模な磁場相互作用を解析する。もう1つは、プラズマを個々の荷電イオンの集合体として捉え、各粒子が磁力線の周囲を回転する様子を微視的に模型化する粒子物理学的な手法である。

しかしこの2つの枠組みは相互に矛盾しており、統合することは困難とされてきた。イイザワ博士の研究チームは、この相反する2つの物理体系が相互作用する領域(イオン運動論的界面)に注目した。Parker Solar Probeの高分解能磁場測定により、この界面付近で明確ならせん構造が出現していることを発見したのだ。

反対方向に回転する磁場のペアが示す広域的相互作用

研究チームが検出したのは、規格化磁気ヘリシティ密度スペクトラの分析から得られた、反対方向に回転する一対のらせん波のピークだ。ヘリシティとは、磁力線がどの程度ねじられ、ループし、結び付いているかを表す指標である。「手性」と呼ばれる性質を持ち、右巻きと左巻きの2つの状態が存在する。電話コードを時計回りに回せば右巻き、反時計回りに回せば左巻きになるように、磁力線のねじれ方にも方向性があるわけだ。

Parker Solar Probeが追跡調査で発見した重要な特徴は、これらのらせん構造が非局所進化(nonlocal evolution)を示していた点だ。通常、科学者たちはこうしたねじれ構造が局所的に形成され、周辺プラズマの性質に応じた周波数を示すと予想していた。ところが観測される周波数は低周波数帯へ偏向していたのである。これは個々のイオン波紋から巨大なプラズマ流動まで、複数のスケールにまたがる構造と相互作用していることを示唆している。

この現象は、乱流プラズマにおけるエネルギー伝達の仕組みに直結する可能性がある。通常、乱流では巨大な渦からはじまったエネルギーが小さな微視的な熱へと段階的に散逸していく。しかし「手性」を持つ乱流では、この下降過程がヘリシティバリア(helicity barrier)と呼ばれる障壁によって阻害される可能性があり、Parker Solar Probeが捉えたこのらせん構造群は、その障壁メカニズムを理解するための直接的な証拠となるかもしれない。

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出典: Universe Today