灼熱の溶岩惑星に予想外の大気—謎に包まれたTOI-561b

超短周期惑星(USP)TOI-561 bは、2020年に発見された岩石質系外惑星だ。その名の通り、太陽のような恒星の周りをわずか10.5時間で一周する。これほどの近距離にある惑星は、恒星からの激しい放射線にさらされるため、大気を失っているはずだと考えられていた。ところが、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)による観測が、この予測を覆してしまった。

冷たすぎる昼側が示すもの

TOI-561 bの謎の糸口は、その表面温度にあった。これほど恒星に近い岩石惑星の昼側は、むき出しの岩石であれば非常に高温になるはずだ。だが観測されたのは、理論値よりもはるかに低い温度だった。研究者たちは二つの可能性を考えた。一つは熱が宇宙空間へ反射されているケース、もう一つは大気が熱を夜側へ運んでいるケースである。

ウォータールー大学のリサ・ダング教授は「現在の理論では、TOI-561 bのような高温照射を受ける岩石惑星は数十億年前に大気を失っているはずだ。われわれの発見はこうした理論に挑戦するものだ」と述べている。

37時間の観測が明かした真実

2025年の限定的なJWST観測では、水や二酸化炭素などの揮発性物質から成る濃い大気が存在する可能性が指摘されていた。今回、カナダのモントリオール大学物理学部・トロティエ系外惑星研究所のサミュエル・ブーシェ氏を筆頭とする研究チームは、より詳細な観測を実施した。

37時間にわたってTOI-561 bを観測することで、惑星は10.5時間の公転周期中に3周以上を観測できた。JWST搭載の近赤外分光器(NIRSpec)を用いた全軌道観測により、昼側だけでなく初めて夜側も観測できたのだ。

これらの成果は天文学雑誌『The Astronomical Journal』に「A Highly Reflective Atmosphere on the Lava World TOI-561b Revealed by JWST/NIRSpec Phase Curves」として掲載されている。

溶岩の海が大気を生み出す可能性

今回の観測で夜側が予想より温かくないことが判明した。これは、大気が熱を昼側から夜側へ運んでいることを強く示唆している。

研究チームは論文の中で「小規模な岩石系外惑星が大気を持つかどうかは、今日の系外惑星科学における最も重要な課題の一つだ」と指摘している。こうした惑星の大気は、原始的なものではなく二次的に形成されたと考えられている。その供給源として注目されるのが、惑星内部からのガス放出である。

興味深いことに、超短周期の岩石惑星は昼側に溶岩の海を持つ可能性が高い。研究者たちによれば、こうした溶岩の海は「大気と継続的に交換を行い、大気に供給する」という。つまり、最も過酷と思われた環境が、むしろ惑星内部の隠れたプロセスを解き明かすための最良の実験室になり得るのだ。

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出典: Universe Today