眠らぬ街マンハッタンの上空に浮かぶ天の川
夜間照明が星々を圧倒する大都市の空で、銀河系(Milky Way)の姿をとらえることができるのだろうか。一見すると不可能に思えるこの撮影を実現したのが、特殊なフィルターの活用である。2026年10月15日にNASA天文学写真(APOD)で公開された画像は、Jason KurthとTy Buckleyによるもので、従来の可視光線ではなく近赤外線(near-infrared)領域の光のみを捉えるという手法を採用している。
光害を巧妙に回避する撮影技術
この撮像方法の巧妙さは、都市の光害を大幅に低減できる点にある。近赤外線フィルターの特性により、従来の白熱電球やネオン灯からの光はなお明るく記録されるが、蛍光灯とLED電球からの放射はほぼ遮断される。星も同様に近赤外線領域で明るく輝くため、結果として銀河系の淡い光が都市部でも検出可能となる。NASAのゴダード宇宙飛行センター(GSFC)傘下の宇宙科学活動部門およびミシガン工科大学と連携して編集・公開されたこの作品は、光に満ちた環境でも天文学的な観測が工夫次第で成し遂げられることを示している。
人類共通の宇宙への窓
同じ空の下に暮らすすべての人々が、星々と宇宙について学ぶ機会を持つことができる。Cecilia Chirenti、Robert Nemiroff、Jerry Bonnell、Keighley Rockcliffeらによって執筆・編集された本画像の解説は、光害が顕著な大都市であっても、宇宙における人類の位置をより深く理解する道が開かれていることを示唆している。天文学的アプローチは、都市と自然、科学技術と天体観測の関係を問い直す契機となり得るのである。
