宇宙最遠方の高速電波バースト、その起源を語る
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)がNASAの観測により、これまで知られている中で最も遠い高速電波バースト(FRB)の起源銀河を初めて詳しく調べることに成功した。この成果は、謎に包まれた宇宙現象の正体に迫る重要な手がかりをもたらしている。
高速電波バースト(FRB)は、ほんの数ミリ秒の間だけ明るく輝く電波信号だ。初期の観測では地球上の雑音と区別するのが極めて困難だった。だが観測技術の向上とともに、ほとんどのFRBが銀河系外から発せられていることが判明した。つまり、非常に強力で瞬発的な天体物理現象が原因であることになる。中性子星の合体が最終的にブラックホールを形成する場合、または磁場星(マグネター)の表面で起きるフレアのような現象が候補として挙げられている。一方、仮説の暗黒物質星の崩壊といった、より異質な説も提唱されている。しかし電波信号だけでは特定の起源を証明することが難しかった。
2024年の発見から宇宙最遠方への追跡へ
2024年、MeerKAT電波干渉計がFRB 20240304Bと呼ばれるバーストを観測した。MeerKATのデータはこのFRBの位置を非常に正確に特定できたが、光学観測ではその場所に何も検出されなかった。その後、研究チームはジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いて改めて観測を試みた。微弱で遠い銀河の観測に特に優れたウェッブは、予想通り小さな銀河を発見した。スペクトル観測によってこの銀河の年代を測定すると、宇宙がわずか約30億年だった時代のものであることが判明したのだ。つまりFRB 20240304Bは現在知られている最も遠いバーストということになる。
若い星に満ちた銀河が示す真の起源
興味深いことに、この銀河のスペクトル情報からは、星の大部分がおよそ3000万年という短い期間に形成されたことが示唆される。つまり宇宙初期の若い星々で満たされた小さな銀河を見ているのだ。この特性がFRB 20240304Bの起源を探る鍵となった。
中性子星合体は時間を要するプロセスだ。連星中性子星システムは合体に至るまで10億年以上かけてゆっくり螺旋を描いて内向する。こうした場合、FRBは成熟した大銀河の古い星々の中で観測されるはずだ。ところが今回観測された銀河は小さく、若い。この特徴は、むしろマグネターが起源である可能性を強く指し示している。FRBがマグネター由来だとすれば、今後さらに遠い宇宙からのイベントが発見される可能性が高まる。MeerKATなどの観測施設は、宇宙最初の10億年という極初期の時代のイベント検出にも期待が持てるようになったのだ。
出典: Universe Today
