ロケット開発の舞台裏を支える システム設計者・スポルツィーノの軌跡
「ロケットの打ち上げを見つめながら『この部品に自分は関わった』と言える状態になりたい」。リチャード・スポルツィーノが目指しているのは、そうした実感だ。肩書きや特定のミッションではなく、目に見える成果物に自分の仕事が組み込まれている確実性を求めている。
NASAラングレー研究センター(ハンプトン、バージニア州)でスポルツィーノは月面基地のミッションアーキテクチャおよびシステム相互運用性チームに属している。月面や火星について、NASAがまだ理解していないことを特定し、それが問題に発展する前に必要な情報を確実に得られるようにする業務にあたっている航空宇宙エンジニアだ。
物理学から航空宇宙工学へ
スポルツィーノの進路は当初、月面探査とは全く無関係だった。大学入学時は歴史専攻だったが、カリフォルニアの私立大学であるサンタクララ大学で物理学に転向した。ゆくゆくは天体物理学の道に進もうと考えていた。
しかし、リック天文台での研究では、星間ダストの偏光現象という魅力的なテーマに出合った一方で、重大な気づきもあった。「夜通し起きている仕事は自分に向いていない」という現実だ。結局、その道は進まなかった。
海軍を経て、最大の影響力を求めて
卒業後、スポルツィーノはジェット戦闘機パイロットを目指し、海軍の士官候補学校入学を検討していた。しかし、その計画は実現しなかった。
この迂回が後の大学院進学につながることになる。進学先での経験が、彼の問いを決定づけた。「どこで最大の影響力を持つことができるのか。どこなら自分の仕事が最も多くのものに触れるのか」。その問いの答えが、現在のNASAラングレー研究センターでの職務だった。
スポルツィーノが走査する視線は、単一の対象ではなく、システム全体に向かっている。月面基地構想という大規模なプロジェクトを支える情報基盤の構築こそが、彼にとって「ロケットに触れる」最も実質的な道なのである。
