ダークエネルギーは「不変」ではない? 2884個の超新星データが標準理論に異議
オーストラリアのクイーンズランド大学数学物理学部を中心とした国際研究チームが、過去最大規模の超新星カタログを完成させた。Ia型超新星2884個の観測データを統合した結果、宇宙の加速膨張を引き起こすとされるダークエネルギーが、これまで信じられてきた「不変」の値ではなく、時間とともに変動する可能性を示唆している。
30年分の観測を一つの枠組みで統一
研究をまとめたのはクイーンズランド大学博士課程の学生ライアン・カミレリ氏率いるチーム。米国、英国、オーストラリア、南アフリカ、スペイン、フランスの研究者らが参加した。
カミレリ氏は「30年分の天文観測を単一の一貫した枠組みに再構築した」と述べている。このカタログは30年分の過去観測データと、2024年に公開されたダークエネルギーサーベイ(DES)のデータ、さらに他の宇宙論的データセットを組み合わせたもので、その規模は従来を大きく上回る。
統一作業にあたって研究チームは、複数の望遠鏡による異なる波長の観測を関連付ける努力を重ねた。また現代の解析技術を用いて、より古い超新星観測データを再分析。宇宙塵や重力レンズといった、超新星からの光に影響を与える要因も考慮に入れている。
「不変」という想定が揺らぐ
従来の宇宙論標準モデル(ラムダ・コールドダークマター(ΛCDM)モデル)では、ハッブル・ルメートル定数で表される宇宙定数が常に一定であると仮定されてきた。だが今回のデータ分析は、この想定に疑問を投じる結果となった。
カミレリ氏は「標準宇宙論モデルを確認する代わりに、ダークエネルギーが時間とともに変化する可能性を示す証拠がさらに増えた」と指摘する。
この知見は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)から得られた新たなデータや、ダークエネルギー分光器(DESI)の最新の調査結果と一致している。DESは2024年時点でも、ダークエネルギーが時間に依存する可能性を示唆する兆候を見せており、DESIも宇宙初期の音波の跡を調べた結果、ダークエネルギーに変動の可能性があることを見出していた。
クイーンズランド大学の天体物理学者タマラ・デイビス教授は、この研究が「ダークエネルギーの真の性質を理解する上で重要な一歩」だと評価。さらに「この研究は重力と量子物理学の関係を説明する手掛かりとなる可能性もある。この二つの理論をどのように統一するかが分かれば、理論物理学にとって大きな進歩になる」と述べている。
本研究は『オーストラリア天文学会出版物』(Publications of the Astronomical Society of Australia)に掲載された。
出典: Universe Today
