セントウルスが彗星へ変わる過程を初めて観測
木星と海王星の間を公転する小天体「セントウルス」が、どのようにして彗星へと変化するのか。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)とジェミニ・ノース天文台(Gemini North observatory)による観測で、その仕組みが明らかになった。対象となったのは450P/LONEOSという名のセントウルスだ。
セントウルスは小惑星帯のような岩質天体でもなく、カイパーベルトのような冷たく静止した氷質天体でもない、その中間的な存在である。木星と海王星の強い重力に揺さぶられるため、軌道は不安定で、いずれ内側の太陽系へ落ち込むか、深宇宙へ放逐されるかのいずれかをたどるとされてきた。氷質天体が彗星へと進化する過程を知るうえで、セントウルスの研究は格好の素材となる。
ドライアイスが彗星化を駆動する
450P/LONEOSは1992年に土星との近接遭遇を経験した。この重力的な相互作用により軌道が大きく変わり、近日点がかつてより太陽に近づいた。結果として、このセントウルスは活動を開始し、他の彗星と同様にガスと塵からなる尾を放出するようになった。言わば彗星体へ移行しつつある状態へ変わったのである。
新しい軌道へ向かう過程で、研究チームは450P/LONEOSがどのように揮発性ガスを放出し、尾がどう形成されるかを捉えた。分光観測により、この尾に驚くほど少ない水蒸気しか含まれていないことが判明した。通常、彗星は「汚れた雪玉」と呼ばれ、水蒸気が主要な揮発性ガスであると考えられてきた。だが450P/LONEOSからは、二酸化炭素が強く検出された。つまり、ドライアイスこそが天体の彗星化を促進する物質だということが示唆される。
多孔質の非晶質氷が温度変化で変質
450P/LONEOSの塵の尾を詳しく調べると、氷晶が存在していることが確認できた。これが観測結果を説明する一つの可能性を示唆する。セントウルスの氷が当初、非晶質で多孔質の形態をしていたと考えられるのだ。温度上昇に伴い、水氷は結晶構造を形成し、そのプロセスで二酸化炭素を放出すると考えられている。
もし450P/LONEOSが将来、木星と近接遭遇を経験すれば、さらに内側の軌道へ移動するだろう。そうなれば氷晶が気化され、尾に水が豊富に混在するようになる可能性がある。あるいは長い年月をかけて容易に放出できる二酸化炭素の大部分を失い、主に水が尾を形成するようになるという経路も考えられる。450P/LONEOSの観測は、氷質天体がいかに時間をかけて彗星へ進化するのかを示す典型的な例となった。
出典: Universe Today
