8月28日の「ほぼ皆既」月食、アメリカ大陸で好適な観測条件
8月12日の皆既日食を見逃した人には朗報がある。2026年の月食シーズンの最後を締めくくる深い部分月食が、8月28日の夜間に観測できる。この月食はアメリカ大陸で最適な観測環境となるほか、ヨーロッパやアフリカでも月没時に、太平洋中部では月出時に観測可能だ。
月食は月、地球、太陽が一直線に並ぶシズギー(syzygy)と呼ばれる天文現象時に発生する。月の軌道は黄道面に対して5度余りの傾きを持つため、月食が起こるのは両者が交わるノード(node)地点に限定される。8月28日の場合、月は満月の約10時間前に昇交点を通過するため、地球の本影の北側を通りながらも、完全な皆既状態には至らないと予測されている。
さらに月食発生のわずか6日前は、2026年で2番目に遠い月の遠地点が起こるタイミングとなる。このため月は通常より小さく見える一方、地球の本影の直径は月の約3倍あり、月が本影内で93%没入した時点が最大となる。
観測の見どころと天文現象の詳細
ユニバーサル時で8月28日の1時23分(米東部夏時間で27日の21時23分)に始まる月食は、半影食を含めて5時間38分強続く。本影への食入は2時34分(米東部夏時間で22時34分)から始まり、3時間18分余りの部分月食期間を経て、4時14分(米東部夏時間で翌0時14分)に最大となる。
観測時の変化は段階的に現れる。半影食の開始から約30分後、月がわずかに紅茶色を帯びた外観を示すようになる。やがて地球の内部の影である本影の輪郭が、ぼろぼろとした炭黒色の線として観え始める。そして本影による暗い曲線が月面に現れると、本格的な部分月食へ移行する。
部分月食であっても、月の南側の端(南辺)は血赤色に染まる可能性がある。これは100個の地球の夕焼けが、地球の大気を通して月面に投影される現象である。観測では、地球の影の縁近くに微かな青色のオゾン層の縁(fringe)が見えることにも注目したい。月食により、通常は骨のような白色の月面が色鮮やかに生まれ変わるのだ。
撮影は月の追尾と焦点合わせで簡潔に実現できる。スマートフォンのカメラを望遠鏡の接眼部に向けてわずかな工夫で、あるいは単に空の光景を眺めるだけでも十分に鑑賞できる。皆既日食の周辺に集中する短時間の現象とは異なり、月食は緩やかで悠長な天文現象である。
歴史的位置づけと宇宙からの観測
この月食はサロス系列138(1521年開始、2982年まで続く)の最終部分月食である。同じ系列では2044年9月7日に初の皆既月食が発生し、その際の皆既継続時間はわずか34分間となるとみられる。
この月食は2年間の中で皆既月食4個に近い「ほぼ四食連続」(almost tetrad)を完成させる。2025年には3月14日と9月8日に、2026年初頭の3月3日にそれぞれ皆既月食が発生した。完全な四食連続は直近では2014年と2015年に起こっており、当時も世界は何事もなく推移している。
地球上では月食を観測している一方で、月面のほぼ全域を向く観測者からすると、その時点で皆既日食が見えるという奇妙な景象が生じる。Firefly Aerospaceの無人着陸機Blue Ghostは2025年3月14日にこのような状況を月表面で目撃した。また、韓国のDanuri軌道船は8月12日の皆既日食を月周回軌道から観測し、月の影が地球上を伝う様子を捉えている。
出典: Universe Today
