月の裏側に電波望遠鏡を建設する競争が加速

1977年に観測された「ワオ信号」(Wow! signal)をご存知だろうか。当時、地球からの電波放射はまだ静かだった。しかし現在、その同じ信号が起きたとしても、人間が発生させる電波のノイズに埋もれて、ほとんど検出できない可能性が高い。衛星やレーダー、その他の人工技術から放射される電波が宇宙空間を埋め尽くすにつれ、地球上から宇宙からのシグナルを監視する能力は大きく制限されてきた。

電波望遠鏡の建設場所として注目されているのが、月の裏側だ。太陽系の中でも人間の電波活動の影響を受けない数少ない場所の一つとして、長年科学者やエンジニアから提案されてきた。さらに、地球の電離圏は低周波の電波信号を部分的に遮断するため、地上からの観測がより困難になるという課題も存在する。

急速に失われる「最後の静寂」

オックスフォード大学のDavid DeBoerを筆頭著者とする研究チームが、arXivにプレプリント版として発表した新しい論文では、月の裏側に電波望遠鏡を建設する具体的な計画が示されている。重要なのは、研究チームが「この最後の安全な場所さえ完全に失われる前に、行動を起こす必要がある」と強調している点だ。

人間による電波放出の増加は止まるどころか、むしろ加速している。1977年当時の「ワオ信号」のような宇宙からのシグナルをキャッチするためには、地球の電波ノイズが届かない環境が必須となる。月の裏側がそうした最後の避難所として機能する時間は、限られているということである。

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出典: Universe Today