超大質量ブラックホール周辺で巨大惑星が形成される可能性、新研究が示唆

超大質量ブラックホール(SMBH)の周囲にある降着円盤(アクリーションディスク)では、特定の条件下で木星をしのぐ巨大惑星が誕生する可能性があることが、新たな研究で明らかになった。ニューメキシコ州立大学天文学部のWladimir Lyra准教授を筆頭とする研究チームが、この知見を『Astrophysical Journal』に発表した。論文のタイトルは「Active Galactic Nucleus Tori: Potential Birthplace to Millions of Planets(活動銀河核のトーラス:数百万個の惑星の潜在的な誕生地)」である。

降着円盤の外側領域に広がる惑星形成の舞台

一般的なイメージでは、ブラックホールは周囲の物質をすべて吸い込む破壊的な存在とされている。しかし実際には、超大質量ブラックホール周辺ではより複雑な現象が起きている。研究チームによると、降着円盤が強い磁場を持つ場合、円盤は安定を保ち、乱流が抑制される。この環境が惑星形成の条件を整えるという。

超大質量ブラックホール周辺の降着円盤は非常に広大で、20,000天文単位以上に達することもある。円盤の外側領域は内側より温度が低く、この特性が重要な役割を果たす。論文の著者らは「活動銀河核円盤の外側領域は、系外惑星周辺円盤と類似した温度を示し、ダスト(塵)の凝縮を許容する」と述べており、「星周円盤と同様のメカニズムを通じ、これらのダストトーラス内で惑星形成と成長が活発に進む可能性がある」と指摘している。

ストリーミング不安定性による惑星の成長

惑星形成の鍵となるのが、ストリーミング不安定性(streaming instability)という現象である。通常、星周円盤ではガスがダストや小石に抵抗を与え、これらが星へ螺旋状に落下して消滅してしまう。しかしストリーミング不安定性が起こると、固体物質が十分に濃縮された領域ではむしろその物質がガスを巻き込み、抵抗による落下を阻止する。

超大質量ブラックホールの場合、星の代わりにブラックホールが存在する点で異なるが、メカニズムは同じく機能する。研究チームは「ストリーミング不安定性に必要なダスト粒子サイズは、凝縮を通じて容易に達成され、これが生成するダストフィラメントは太陽質量を含むことができ、地球から超木星質量に至る数千万個の微惑星へと崩壊する」と述べている。この過程では、ハイドロジェンバーニングリミット(水素核融合の下限質量)を上回る超木星級の惑星も誕生しうる。

さらに形成過程で、形成中の微惑星の質量が残存する円盤全体の質量に等しくなるクロスオーバーマス(crossover mass)に到達すると、ガスの外殻が形成される。ガスの降着が同時に進行し、この段階でもなお惑星質量の範囲内にとどまりながらクロスオーバーマスに達すると、激しいガス降着が生じ、恒星質量を持つ天体へと成長する可能性もある。研究チームは「このメカニズムが恒星形成の一つの経路を定義する」と説明している。

活動銀河核の円盤で形成される惑星は、通常の系外惑星とは異なる性質を持つと予想される。区分化した構造ではなく、純粋に蓄積されたダストのみで構成されるという。研究者らはこれらの天体について「水素核融合の下限を上回りながらも、純粋なダストから直接形成される異質な天体の族」と記述し、「放射性同位体26Alや60Feなど、円盤内の大質量進化星で生成された短寿命の放射性核種による放射性崩壊で加熱され、珪酸塩が融解して全体がマグマオーシャンとなり、大気を放出した『退化したラバドロップ』として活動銀河核を公転する」可能性を提示している。

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出典: Universe Today