世界中の900台の望遠鏡が同じ時間に同じ天体を観測する国際協力プロジェクトが、大きな注目を集めています。このプロジェクトは年に1度だけチャンスが訪れるという、極めて限定的な観測機会を活用したものです。複数の波長域で同時観測を行うことで、従来の単一望遠鏡では捉えることができなかった現象の全貌が明らかになるとみられています。
900台の望遠鏡が一堂に集まる意味
電波望遠鏡から可視光望遠鏡、そして赤外線望遠鏡に至るまで、異なる観測装置が同一の対象天体に向けられることは天文学において非常に珍しい試みです。個々の望遠鏡は限定的な感度や解像度しか持たないものの、900台が集まれば膨大なデータセットが生成されます。国際天文学連合(IAU)の調整により、欧米のみならずアジア太平洋地域の施設も参加する前例のない国際協力体制が実現しました。このスケールの観測は、人類の観測天文学の歴史において初めてのこととされています。
年に一度の観測チャンスがもたらすもの
対象天体の軌道や位置の関係から、集中的な観測が可能な時期は限定されています。この希少性こそが、これほどまでの国際協力を引き出した要因となりました。観測対象は超大質量ブラックホールの周辺環境、または重力波を放射する連星系など、極めて重要な天体物理現象とみられます。来年の同じ時期まで待つ必要があるため、今年の観測データは各研究機関にとって数年分の研究資源に相当する価値を持つことになるでしょう。
日本の望遠鏡も参加
日本は国立天文台が管理する複数の施設をはじめ、大学の研究機関に至るまで幅広く参加する見通しです。ハワイのすばる望遠鏡(Subaru Telescope)や、国内のミリ波観測施設も観測に加わるとされています。このプロジェクトの成功は、日本の天文学コミュニティが国際的な最先端研究に不可欠な存在であることを改めて示すことになるでしょう。
