9月の夜空は月による天体隠蔽で賑わい——木星から金星まで5つの天体が月に覆われる
月が9月を通じて、次々と惑星や恒星を隠す現象「オカルテーション」(occultation)が起こる。オカルテーションとは、一つの天体が別の天体の前を通り過ぎて隠す現象を指す天文学用語だ。月は黄道に沿って毎月の軌道上で上下に移動し、幅約0.5度の道筋をたどりながら、複数の明るい天体を次々と覆っていく。8月の日食シーズンから続く月の活動は、9月26日の満月「ハーベストムーン(秋分月)」に向けて加速していく。
9月の主要なオカルテーション現象は5つに上る。最初は9月8日、明るさが-7%の三日月状の月が木星を隠す。北東アジアでは明け方の空で、北米東部では日の出後の昼間の空で見られる。木星の等級は-1.8等で、双眼鏡や小型の望遠鏡があれば月の縁近くで捉えやすい。月が木星の32秒角に及ぶ視直径を完全に覆うには1分以上かかる。この現象は10月6日に米国本土で起こる次の木星食の前哨戦となる。
アジア太平洋地域と欧州で相次ぐ現象
9月9日には、月の明るさがわずか-2%の細い月が、しし座の1等星レグルス(Alpha Leonis)を隠す。この現象の見える地域は南太平洋に限定され、ニューカレドニアが最良の観測地となる。レグルスは現在、全世界で月による隠蔽が相次ぐ周期に入っており、この傾向は12月27日まで続く。
9月14日の金星食は、より広い地域で観測できる高い関心を集める現象だ。明るさが+12%の上弦の月が金星を隠す。東南アジアではたそがれ時に、ヨーロッパ、イギリス、北東アフリカ、中東では昼間の空でこの現象が見られる。その時点で金星と月は太陽から東へ41度離れた位置にいる。金星は現在、等級-4.7で極めて明るく、青白い昼間の空でも正確な位置さえ知っていれば肉眼で捉えられる。月が金星の37秒角の視直径に及ぶ、明るさ29%の三日月状の円盤を覆うには1分以上を要する。月の暗い縁の上に、ほんの一瞬だが金星の「角」が輝いて見える光景は、他に類を見ない景観となるだろう。2026年を通じて金星が月に隠蔽されるのは、11月7日が最後となるが、その現象は南太平洋の遠く離れた地域上空に限定される。
恒星とすばるも隠蔽の対象に
9月17日には、明るさが+38%の上弦の月が、1等星アンタレス(さそり座の最も明るい星)を隠す。この現象は南インド洋上で見られる。アンタレスは、月が隠蔽できる4つの1等星の一つで、他の3つはアルデバラン、スピカ、そしてレグルスである。
月によるオカルテーションの観測と記録は単純だ。適切な時刻に月を照準して追跡するだけで済む。惑星食について正確な地点ごとの出現・消失時刻を知りたい場合、IOTAが特定の地点向けに提供するデータが役立つ。より確実には、Stellariumのようなプラネタリウムソフトを用いて、自分の正確な位置を設定したうえで現象をシミュレーションすることが勧められる。
9月30日、最後の観測対象はプレアデス星団(メシエ45、すばる)だ。明るさが-80%の下弦月がこの美しい散開星団を覆い、北ヨーロッパの観測者にとって特に好適な現象となる。月は18.6年周期の中で「丘の多い年」に当たる時期、南北に大きく揺らぐ軌道を描き、この散開星団を訪問する傾向を示す。
出典: Universe Today
