星流の歪みは暗黒物質ではなく通常物質が原因―銀河系を模した新シミュレーションで判明

銀河系を周回する星の流れに生じるねじれやキンクは、これまで暗黒物質の塊によって形成されると考えられていた。しかしArpitアロラと協力研究チームが『アストロフィジカル・ジャーナル』に発表した新しいシミュレーション研究は、この常識を覆す結果をもたらした。通常物質だけでも、こうした歪みを十分に説明できるというのだ。

星流形成メカニズムと観測の現状

星流(stellar streams)は、矮小銀河や球状星団が大型銀河と衝突する際に生まれる。重力相互作用によって星々が噴き出し、その後も大型銀河を周回し続ける現象だ。銀河面の外側を公転するため、観測対象として容易に識別できる。銀河系内では少なくとも24個の星流が確認されており、アンドロメダ銀河周辺でも複数が発見されている。

通常物質が引き起こす予想外の変形

今回のシミュレーションが対象としたのは、銀河系に似た模擬銀河周辺の星流の振る舞いである。特筆すべき点は、暗黒物質の変動をシミュレートせず、暗黒物質を単純で均一なハローとして扱ったことだ。通常物質との相互作用を分離することで、より微細な暗黒物質効果を後々研究する基盤を築く戦略である。

シミュレーション結果は予想を上回った。銀河中心に近い軌道を公転する星流でキンク効果が最も強く現れたが、より遠い星流でも変形が生じた。むしろ歪みのない滑らかな星流の方が稀であるという知見は、従来の理解と大きく異なっている。研究チームは、模擬銀河内の星流が実際の銀河系で観測される星流と類似していることも確認した。実在する星流に見られるねじれ、キンク、塊が、すべてシミュレーション結果に現れていたのだ。

将来の観測による検証の可能性

この発見は、銀河系の星流が暗黒物質の塊を直接調べるには適さないことを意味する。大規模な特徴の多くは通常物質の影響で説明できるためだ。しかし新たな展開が訪れようとしている。ベラ・ルービン望遠鏡(Vera Rubin telescope)からの観測データは、銀河系周縁部の微弱な星流に関する豊富な情報をもたらすだろう。その時点で強い変形が検出されれば、暗黒物質の相互作用が原因である可能性が高まるとされている。シミュレーション結果は比較対象の基準線として機能し、将来の観測と模擬結果がどこで乖離するかを見極める道筋を提供する。

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出典: Universe Today