宇宙の質量計測に使われる基本ツールに、ミズーリ大学の研究チームが修正を提案
宇宙全体の質量がどのように分布しているかを測定する際、天文学者たちは従来、銀河に存在する星の数と塵やガスの雲、それに暗黒物質を知ることに依存してきた。ところが現在の測定方法には大きな落とし穴がある。ミズーリ大学の研究チームが発表した論文は、この根本的な問題に光を当てている。
星の質量を推定する際、天文学者らは一般に最も明るい星の質量を用いて銀河全体の質量を推定してきた。その結果、銀河に含まれるその他の小さな星や暗黒物質は過小評価され、実質的に見えないものとして扱われてきた。この偏りを説明するために、研究チームは「地球上の全人類の質量を最も大きな人たちの質量だけで測定し、それを平均値として用いるようなもの」と指摘している。
初期質量関数の限界と改善の方向性
天文学者たちは数十年間、星団や銀河に存在する小さくて見えにくい星の数を推定するため、初期質量関数(IMF)と呼ばれる数学的ルールを使用してきた。このツールは、宇宙のどこでも星がおおよそ同じ質量比で形成されるという前提に基づいている。IMFは、銀河系(天の川銀河)の星を観測して導かれた平均推定値をもとに構築され、その後、他の銀河の質量推定に適用されてきた。
しかし現在のIMFには根本的な問題がある。大きな星の質量に偏って依存しているため、小質量星の分布についての完全な理解が欠けている。これは宇宙全体の質量推定の正確性に大きく影響する。ミズーリ大学のチャールズ・スタインハルト天文学教授は「天文学の基本的な仮定の一つが過度に単純化されているかもしれない。他の銀河は物理法則に違反していたのではなく、私たちが間違った物差しで測定していたのだ」と述べている。
ガイア衛星データから明かされた星形成の多様性
星は巨大な分子ガス雲の内部で一群となって形成される。各々のガス雲は様々な質量を持つ星を生成する能力を備えている。ミズーリ大学の研究チームはこの問題に取り組むため、欧州宇宙機関(ESA)のガイア衛星のデータに着目した。ガイア衛星は銀河系内の約20億個の星を検出し、その位置を図化している。
研究チームは特に星団に注目した。同じガス雲で形成された星団の構成員であれば、星がどの質量比で形成されるかについて重要な手がかりが得られるためだ。ここで研究チームが探した根本的な問いは「宇宙全体で星は同じ質量比で形成されるのか」というものだった。答えは否だった。
大学院生メンバーのカーター・マイヤーホフによれば「私たちが見つけたパターンは驚くほど明確だった。超巨大な星からかろうじて観測できる暗い矮星まで、異なる星団は異なる質量比を持つ」という。研究チームが提案するのは、全ての銀河に同じモデルを適用するのではなく、星が形成された環境の条件を考慮に入れ、その環境に最もよく合致するIMFを選択するという方法だ。このアプローチにより、銀河の質量、年齢、進化についてより正確な推定が可能になると考えられている。
出典: Universe Today
