短時間での核兵器使用も視野に、小惑星衝突防止の新シナリオ
中国航天科技集団公司(China Academy of Launch Vehicle Technology)の研究者が、短い警戒期間のうちに小惑星を核兵器で破壊または軌道変更する可能性を検討した論文を、学術誌『Space: Science & Technology』に発表した。2024年7月時点で発見されている近地球小惑星(NEA)は3万5269個で、このうち直径140メートルを超えるものだけでも1万933個に及ぶ。もし地球と衝突すれば大陸規模あるいは地球全体的な壊滅をもたらし、数百万人の死傷につながるおそれがある。
問題となるのが発見から衝突までの時間の短さだ。小惑星防衛の専門家らの警告によれば、未発見の危険な小惑星は想像以上に多く、シミュレーションでは発見から衝突までわずか数日という事態も想定されている。こうした限られた時間の中で地球を防衛するには、小惑星に可能な限りの衝撃を与え、破壊するか軌道を大きく変える必要がある。現在知られている手段の中で、それに最も適しているのが核兵器の使用だ。
二つの作戦シナリオ:速さと効率のトレードオフ
中国の研究チームが検討した最初の方策は最も単純で迅速だ。核兵器を小惑星に直接衝突させ、精密なタイミングで爆発させることで軌道から逸らす。素早い対応が可能だが、欠点も大きい。最適な衝撃地点を選ぶ余裕がなく、爆発エネルギーが小惑星に伝わる「結合エネルギー」が弱まる傾向にある。さらに核弾頭は高速の岩片の衝突に耐え、マイクロ秒単位の精度で起爆する必要があり、工学的な課題も山積している。
もう一つの方策は、米国航空宇宙局(NASA)傘下のジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究所による小惑星軌道変更実験(DART)の成果を応用する。この方式では、まず「1+1」タンデム衝撃体のような従来型の貫通装置を使用し、同じ地点に連続して運動エネルギー弾を撃ち込み、数十メートの深さのクレーターを事前掘削する。その後、掘削されたピット内に核装置を送り込んで爆発させるものだ。
深さが決め手:爆発位置で効果に劇的な差
シミュレーション結果は、この第二の方式の優位性を如実に示している。小惑星内部の深い位置で爆発するほど、エネルギーがその移動に転換される効率が高まる。直径1キロメートルの小惑星に対して、浅い表面クレーターで3メガトンの核兵器を爆発させた場合、小惑星の速度変化は秒速わずか9.2センチメートルにとどまる。一方、同じ核兵器を事前掘削クレーター内で爆発させた場合は、速度変化が大幅に増加する結果となった。短時間での対応を迫られる状況では、爆発地点の深さが防衛の成否を左右する重要な要因となるのだ。
出典: Universe Today
