オリオン座の肩、ベテルギウスに伴星の影響か 電波観測で大気変形を確認
オリオン座の肩を形成する赤色超巨星ベテルギウスが、伴星によって大気を乱されている可能性が高まった。超大型干渉電波観測所(VLA)とアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(ALMA)による最新の観測から、ベテルギウスの大気が卵形に変形する周期的な現象が捉えられたのだ。これは伴星シワルハの公転運動と一致する。この研究成果は、ベテルギウスが単一の星ではなく連星系を成している可能性を示す最も強力な証拠となっている。
直接観測できない伴星の存在を大気の歪みから証明
ベテルギウスは長年、単独の恒星と考えられてきた。しかし近年の観測によって、若く黄色い準主系列星シワルハという伴星が存在することが明らかになっている。これまで伴星を直接観測できないため、その実在性について議論が続いていた。
VLAとALMAは電波波長でベテルギウスを空間分解できる観測装置である。今回の観測では、赤色超巨星の大気がときに卵形を呈すること、そして星が円形と卵形の間を周期的に行き来することが確認された。この変形パターンはまさに伴星の質量がベテルギウスの大気を引きずるような作用を起こしているかのようだ。
ベテルギウスは生命の終末期にある星である。太陽の14倍の質量しかないにもかかわらず、直径は太陽の640倍以上に膨張している。大気を含めた星の広がりは火星の軌道よりも大きい。こうした巨大な外層は非常に希薄で、地球の実験室では真空に近い状態にある。シワルハはベテルギウスの半径の3倍未満という極めて近い距離で公転しており、赤色超巨星の外層大気の中を文字通り通過する。伴星がこの希薄な大気を横切るとき、引力によって大気が乱されるのだ。
長期の明るさ変動の謎を解く鍵
ベテルギウスは従来から約425日周期の変光が知られていた。だがより最近になって、約5.9年という長い周期の変光パターンが発見された。この5.9年の周期がシワルハの推定公転周期と一致し、さらに大気の卵形変形の周期ともぴたりと合致する。この符合は偶然ではなく、伴星の存在を強く示唆している。
本研究はマシューズらが天文学誌『ザ・アストロノミカル・ジャーナル』2026年第172巻第3号に発表したもので、VLAとALMAによる新たな空間分解観測に基づいている。これまでベテルギウスの明るさと温度の変化は、星自体の内部プロセスだけが原因だと考えられてきた。しかし今回の発見により、その複雑な振る舞いの背後には、目に見えない伴星シワルハの重力的影響が働いていることが示唆された。ベテルギウスの謎を読み解くには、表舞台に出ることのない伴星の物語にも目を向ける必要があるのだ。
出典: Universe Today
